【ロンドン=板東和正】英政府は19日、欧州連合(EU)離脱に伴う新たな移民制度の概要を発表した。離脱前はEU域内の低賃金の単純労働者を受け入れてきたが、技能などで一定の水準に達した英国への移住申請者にだけビザ(査証)を与える方針に切り替わる。英EUが離脱前の経済関係を継続する「移行期間」終了後の来年1月1日に導入する見通し。EU域内出身と域外出身の労働者の扱いが同じになる。
内務省によると、EU域内の移民が新たな移民制度でビザを得るには、一定以上の英会話能力や技能レベルのほか、英企業からの正式な雇用が決まっていることが求められる。
2万5600ポンド(約370万円)以上の年収も原則必要になるが、年収が基準に満たなくても、政府が認める人手不足の職種などでは例外的にビザ発給が認められる可能性がある。
英国では低賃金の移民労働者の流入に不満を募らせる国民が多く、英国がEUを離脱する要因となった。英政府はこうした移民の流入を阻止し、有能な人材を引き寄せることで、国内の経済活性化を狙う。ただ、単純労働者を排除する方針について「移民排斥」と非難する声があがっている。