大阪市、学校給食無償化を検討 政令市初、子育て家庭を支援





大阪市役所=大阪市北区

 大阪市の松井一郎市長が、市内の公立小中学校の給食無償化に向けた検討に乗り出したことが20日、分かった。市の教育関連費の財源の一部を充てる構想で、関係部局に制度設計を指示、今後1年程度かけて詳細を詰める方針。学校給食無償化を実施している自治体は全国でわずか約4%で、人口1万人未満の自治体がほとんど。大阪市レベルの規模では例がなく、実現すれば政令市では初めてとなる見込み。

 親が経済的に困窮し、満足に食事が取れない「子供の貧困」が社会問題化する中、栄養ある日々の給食を無償提供することで、教育費がかさむ子育て家庭を支援し、子供の成長を支えるのが狙い。

 昨年6月の市議会で公明党が給食無償化導入について質問。松井氏も「重要な課題の一つと認識している」と答弁していた。関係者によると、松井氏は将来的に給食費無償化に踏み切る考えを固めているという。早ければ令和3年度の予算計上も検討するとみられる。

 市教委によると、大阪市では現在市立小学校285校、中学校128校で給食を実施。いずれも保護者の負担は食材の実費だけで、人件費など調理コストは含まれていない。原則として、小学校の給食費は児童1人につき年間約4万5千円。中学校では、生徒1人あたり年間約4万9千円となっている。

 市では無償化にあたり、所得制限を設けるか否かや、対象を中学校のみとするかなど詳しい検討を行う。市教委によると、経済的に厳しい家庭には、給食費などを補助する「就学援助制度」があるが、市内の小中すべてを無償化すれば、新たに毎年度約60億円の財源が必要となる。

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