G20財務相が開幕 巨大IT企業へのデジタル課税 OECDの骨格案承認へ





リヤドで開幕したG20財務相・中央銀行総裁会議=22日(G20 SAUDI ARABIA提供・共同)

 【リヤド=林修太郎】リヤドで開幕した20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議では、巨大IT企業などの過度な節税策を防ぐ国際的な規制「デジタル課税」の導入をめぐり、経済協力開発機構(OECD)がまとめた骨格案を承認する見通しだ。ただ、米IT大手を狙い撃ちにしていると米国が反発を強めており、各国が目指す年内の最終合意に向け協議が難航する可能性が高い。

 デジタル課税をめぐっては、OECDが1月末に示した骨格案を日本を含む約140カ国・地域で大筋合意した。G20議長国のサウジアラビアは、年内の最終合意に向けた道筋づくりに意欲を示す。ただ、国際金融筋は各国の思惑を「互いに抜き身をちらつかせている」と表現し、妥結が容易ではないとの認識を示す。

 グーグルやアップルなど多くの巨大IT企業を抱える米国は、新たなルールを企業に強制するのではなく現行の課税ルールとの「選択制」にしてはどうかと提案している。これに対し、OECDでは多くの参加国が“骨抜き案”だと反対し継続協議になっている。

 英国やフランスなど欧州勢は国際合意が得られなければ独自に巨大IT企業への課税を進める方針で、米国は報復を検討している。1月には米仏両国が国際合意を目指して一時「休戦」することで合意したが、各国の主張が今後先鋭化すれば、収拾がつかなくなる。

 デジタル課税は世界規模で事業を展開した企業を対象に、一定水準を上回る売上高に対し各国が課税する枠組み。現行ルールでは工場や支店など物理的拠点がなければ課税できないが、新規制が導入されれば音楽配信などの消費者向けサービスや、企業向けのクラウドサービスなどで巨額の利益が出た企業からも税金を徴収できるようになる。

 ただ、対象企業の線引きは今後の議論だ。二重課税を防ぐ仕組みやインターネット関連事業を展開する企業により高い税率を課すべきかといった課題も残る。

 大和総研の金本悠希主任研究員は「詳細を詰めるほど利害対立は激化する。まだ先は長く、今回のG20では形式的な議論にとどまるだろう」と指摘する。



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