【ゴッホを語る】キャンバスに生命力宿し TOYO TIRE社長 清水隆史さん





TOYO TIRE 清水隆史社長

 母方の祖父が美術の教師をしていました。同じく絵を描く母は家の離れにアトリエを置き、画家や写真家、華道家といった芸術家らに住まいの周辺の一部を借家として供しています。不器用で芸術の才能とは無縁の私は絵を描きませんが、小さい頃から絵に囲まれて育ちました。

 そのアトリエには、花の絵が多くありました。ゴッホの作品の中でとりわけ「麦畑とポピー」を気に入っているのは、空の青色、麦畑の緑色と黄色、そして鮮烈な赤色を咲かせたポピーが印象的で、色彩の鮮やかさに心打たれたからです。

 ゴッホは各地を移り歩くたびに作風、技法が変わっていきました。特にアルルとの出会いが彼の人生を変えたことは疑いありません。キャンバスそのものが生命力を宿しているような、独特の筆触でいきいきと自然を描きました。

 南仏の明るい太陽の光が降り注ぐ壮観な麦畑は、きっと彼に勇気を与えたはずです。青く透き通った空は彼を自由に解き放ち、点在する鮮やかな赤色のポピーが彼の心に希望の火をともしたであろうことが、私には想像されます。

 道なき大地を切り開いて挑戦していく-。当社がブランドに掲げる考え方ですが、アルル時代のゴッホの気概に通じるところがあります。事業にかける経営者の情熱や社員の体温も、最終的にはお客さまへ届いていくに違いありません。ゴッホの絵を前にしながら、やはり事業と重ね合わせてしまいます。



Source link