フィリピン拠点に詐欺電話か　男９人を逮捕、日本に移送　警視庁

　フィリピンを拠点に日本へ特殊詐欺の電話をかける「かけ子」グループとみられる日本人３６人が現地の入国管理局に拘束された事件で、警視庁捜査２課は２４日、このうち男９人を窃盗容疑で逮捕し、身柄を日本へ移送した。被害実態の確認を急ぐとともに、日本国内にも指示役などがいるとみて全容解明を進める。

　逮捕されたのは今泉竜容疑者（２７）らいずれも住居・職業不詳の男９人。当時１９歳の少年１人を含む。

　逮捕容疑は昨年１１月中旬、フィリピンから東京都渋谷区に住む無職の６０代の女性宅に警察官を装って電話をかけて「あなたのキャッシュカードが悪用されており、保管させてもらいたい」などと虚偽説明をし、女性からキャッシュカード５枚を盗んだとしている。

　女性宅を訪れたのは、９人とは別の「受け子」役の男だったとみられる。カードを封筒に入れ押印を依頼し、女性が目を離した隙に別の封筒にすり替える手口だったという。

　逮捕された９人は２４日午後、成田空港に到着。いずれもマスク姿で、無言のまま捜査員とともに捜査車両へと向かった。

　事件では、フィリピンの入国管理局が昨年１１月、かつてホテルとして使われていたマニラ近郊のビルで３６人の身柄を拘束。警視庁は同年１２月にフィリピンに捜査員を派遣し、移送に向けて現地当局と情報交換してきた。今後も順次、移送の手続きを進め、立件を視野に捜査する方針だ。