警視庁は11月4日、池袋のガールズバー女性従業員に対し、大久保公園の路上などで売春を強要したとして、店長の鈴木麻央耶容疑者(39)と従業員の田野和彩容疑者(21)を労働基準法違反(強制労働)の疑いで再逮捕しました。両容疑者は既に売春防止法違反(管理売春)の容疑で逮捕済みです。
被害女性が置かれた「抗拒不能な状態」
社会部記者によると、鈴木容疑者と田野容疑者は昨年10月から今年7月にかけ、20代の女性従業員に対し「お前の接客態度が悪いから稼げないんだ」「金遣いが荒いから管理してやる」などと脅し、頭を殴るなどの暴行を加えてガールズバーでの強制労働を強要した疑いが持たれています。被害女性は、この暴行と脅迫により、自らの意思に反して抵抗できない「抗拒不能な状態」に陥っていたとされています。
事件の舞台となったガールズバー「イーウェーブモーニング」は、JR池袋駅西口から徒歩5分の雑居ビル7階に位置していました。この店舗は、午前5時から午後8時まで営業する「朝の部」として、別の「夜の部」店舗から間借りして運営されていたとのことです。被害女性は昨年9月にこの池袋のガールズバーで働き始め、店内のわずか1畳ほどのバックヤードに寝泊まりを強いられ、さらにGPS装置で常時位置情報を監視されるという、極めて劣悪な環境下に置かれていたと社会部記者は伝えています。
ガールズバーの飲食店サイトに掲載されていた田野和彩容疑者の写真(現在は削除済み)
売春強要の実態と容疑者の中心的役割
警視庁保安課の調べでは、被害女性はわずか3カ月間で約400人もの客と売春行為をさせられ、約600万円もの売上を上げていたことが判明しています。この多額の収益のほとんどは、鈴木容疑者と田野容疑者に送金されており、多い日には1日に13人もの客と売春を強要されるなど、被害女性が経験した過酷な状況が明らかにされています。
元従業員のAさんの証言によれば、田野和彩容疑者は店のマネージャーとして女性従業員の教育係を務める傍ら、「マイカ」という源氏名を名乗り、自身も積極的にカウンターに立ち接客を行っていました。Aさんは「マイカさん(田野容疑者)はずっと売上がダントツ1位で、月に数百万円は確実に売り上げ、時には1000万円を超える月もありました。他の子がマイカさんの成績を抜くことは一度もありませんでした」と語り、田野容疑者の圧倒的な影響力を示唆しています。被害女性は、客の目の前で店長の鈴木容疑者と田野容疑者から「ブスで売上もないくせに」と罵倒され、鈴木容疑者からは非常階段に呼び出され、シャンパンの瓶で頭を殴られたり、執拗に蹴られたりするなどの日常的な暴行を受けていたと詳細に明かされています。
池袋ガールズバーで「マイカ」としてナンバーワンを誇った田野和彩容疑者。ヘソ出しシャツ姿で客を誘う様子。
この事件は、ガールズバーという業態の裏に潜む強制労働と人権侵害の深刻な実態を浮き彫りにしています。警視庁は、今後も同様の事件の全容解明と撲滅に向けて厳正な捜査を進める方針です。
- Source: Yahoo!ニュース (集英社オンラインより)
https://news.yahoo.co.jp/articles/729c0e58ef8e7741b4a67eab61d3013b9da7d336





