ハンセン病患者とされた男性が特別法廷で死刑となり執行された「菊池事件」で、特別法廷の違憲性を初めて認めた26日の熊本地裁判決を受け、最高裁広報課は「個別の判決に対するコメントは差し控えさせていただく」とコメントした。
裁判所法では、災害などの緊急時を念頭に、最高裁が必要と認めれば外部で法廷を開けると規定。この規定を根拠としたハンセン病患者の特別法廷は、昭和23~47年、ハンセン病療養所や隣接する刑務所、拘置所などで95件開かれた。
特別法廷をめぐり、最高裁は平成28年4月、医学的見地から隔離の必要がなくなった昭和35年以降は「差別的で違法な運用だった」との調査報告書を公表し、謝罪。当時の寺田逸郎最高裁長官は「(最高裁が)差別助長を認めた意味は非常に大きい。裁判所は憲法的価値の実現に大きな役割を担っており、期待を裏切ったのは痛恨の出来事。重大に受け止めなければならない」と述べていた。