【ゴッホを語る】自身の感情人々に伝え 高松建設社長 高松孝年さん





高松建設社長の高松孝年さん

 東京展は開幕式典当日に鑑賞しましたが、もう一度じっくり見てみたいとの思いがあり、会期終了間際の1月の平日、再び会場を訪れました。夕方にもかかわらず多くの方が見に来られていて驚きました。美術、文化というものの魅力を痛感し、「私自身も一生懸命、見させていただこう」との思いに駆られました。

 今回の展示の評価が高い理由の一つは、その構成でしょう。「糸杉」や自画像など、ゴッホ自身の作品が優れているのは言うまでもありませんが、生涯に影響を与えたハーグ派、フランス印象派の絵画をともに紹介しつつ、物語のように生涯を追っています。同時に多くの天才画家らが活躍した当時の欧州の姿をダイナミックに伝えています。

 私たちの仕事とゴッホの画業をあえて比較させていただくならば、われわれも建築を通じ、自身の心に起きた感情を人々に伝えようとしている点で、共通点があります。グループ企業には1400年以上の歴史を持つ建築会社「金剛組」がありますが、彼らの手掛けた四天王寺のように、後世の人々に“美しい”と思ってもらえる建築物を残せるのか。その追求が、われわれの使命だと思います。

 ゴッホは多くの技法を研究し、人々に受け入れられる表現を開花させていきました。建築も、利便性や使い勝手を突き詰める中に、自然と洗練された美しさが生まれます。絵画を見て、そのような事業に取り組みたいと、改めて感じました。(黒川信雄)



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