【主張】安倍首相の会見 矢継ぎ早に具体策講じよ


 安倍晋三首相は新型コロナウイルスの脅威から国民と社会を守るため、必要だと確信する具体的な対応を時機を逃さず、矢継ぎ早に講じていかなくてはならない。

 2月29日の記者会見で首相は、国民や全ての関係者に対し、全国の小中高の一斉休校を要請したことへの理解を求めるとともに、新型肺炎との戦いへの全面的な協力を呼びかけた。

 首相は「率直に言って政府の力だけでこの戦いに勝利を収めることはできない」「収束への道のりは予断を許さない。厳しい戦いが続くことを覚悟しないといけない」と述べた。

 日本は文字通りの緊急事態に直面している。新型ウイルスとの戦いはもはや、後手に回る対応をしている余裕などない。安倍首相は「首相として先頭に立ってなすべきことは決断していく」「政治は結果責任だと言ってきた。逃れるつもりはない」と語った。緊急事態に臨むリーダーとして、当然の心構えであろう。

 感染拡大の防止のためには、異なる意見に耳を傾けつつも、国政の最高責任者にしかできない政治判断をスピード感をもって下し、実行に移す必要がある。

 一斉休校には批判もあるが、約1300万人に及ぶ子供たちを守るための措置である。感染の広がりを抑え、子供たちと暮らす高齢者や基礎疾患のある弱者を守ることも期待できる。

 首相はこれに伴って休業せざるを得ない正規、非正規労働者の所得減少に新しい助成金を創設することや、企業に対する雇用調整助成金を、特例的に1月にさかのぼって適用すると表明した。

 経済への深刻な影響を踏まえて10日程度で第2弾の緊急対策をまとめる方針も打ち出した。検査機能の拡充や医療態勢の強化へ、実効性のある対策を確実に講じてもらいたい。新型ウイルスと戦うためには不可欠である。

 首相は、感染拡大に対処する立法措置を急ぐため、野党にも協力を要請する意向も示した。一定の地域に急激な感染拡大がみられた場合に「緊急事態宣言」を発して対応することが念頭にあるのだろう。与野党は協力して早期の成立を図ってもらいたい。

 新型ウイルスとの戦いは首相や政府任せではいけない。各自治体や企業、国民一人一人も力を尽くす必要がある。



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