【モスクワ=小野田雄一】ロシアのプーチン大統領の批判者で、2015年2月にモスクワで殺害されたネムツォフ元第1副首相の追悼デモが29日、モスクワ中心部で開かれ、参加者らは2キロ以上にわたって市内を行進した。集会は反体制派団体などが企画し、当局の許可を得て実施。参加者数は警察当局が1万人超とした一方、非政府系の集計団体は約2万2千人以上としている。
参加者らは「ネムツォフ氏はロシアの英雄だ」などとシュプレヒコールを上げながら行進。「プーチンなきロシアを!」「ロシアに自由を!」「憲法に手を出すな!」などとの声も上がった。プーチン氏が1月に提案した憲法改正で、24年の大統領退任後も実権を保持し続ける可能性が広がることに対し、一定の社会的反発があることを示した。
参加者らはまた、昨秋のモスクワ市議会選をめぐる抗議デモで拘束されている人々らの釈放も求めた。
ネムツォフ氏殺害事件では、露南部チェチェン共和国の治安部隊元幹部ら5人が有罪判決を受けた。反体制派側は、殺害を命じた人物が政権周辺にいる可能性があり、捜査は不十分だと批判を続けている。