【主張】「3・11」と感染症 避難所の環境改善を急げ

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 新型コロナウイルスの感染拡大を抑えるための「非常事態対応」が続くなかで、東日本大震災から9年となる「3・11」を迎える。

 今は、政府も国民一人一人も感染症との戦いに総力を挙げなければならない。同時に、地震や津波をはじめとする自然災害の脅威も、忘れてはならない。

 非常事態の渦中にある今こそ、命を守るために自然災害への備えを徹底したい。重要な課題の一つが避難所の環境改善である。

 感染症が猛威を振るうなかで、東日本大震災や西日本豪雨のような大規模災害が発生したら、どうなるのか。多くの住民が集まる学校などの避難所で、感染拡大を防ぐのは難しい。

 「そんな事態は考えたくもない」「今は、大規模災害が起こらないことを祈るしかない」

 それが偽らざる思いであるとしても、「考えない」「祈るだけ」でいいはずがない。

 日本は災害多発国であり、防災先進国と位置付けられている。

 しかし、災害時の避難所では多くの人が「雑魚寝」に近い状況を余儀なくされることが珍しくはない。1人当たりの面積やプライバシーの保全など、避難所の環境整備は欧米諸国に比べて大きく遅れていると、これまでの災害で繰り返し指摘されてきた。

 避難所の環境の悪さに比例して感染症リスクは増大する。不特定多数の人を収容する避難所を「ゼロリスク」にすることは不可能だが、雑魚寝状況を解消し、プライバシー保全に配慮することで、感染症のリスクは低減する。

 高齢者や乳幼児、持病のある人たちは災害に対しても感染症に対しても弱者である。命を守るためには、手厚い支えが必要だ。重症化しやすい弱者をウイルス感染から守ることで、多くの避難者のリスクも小さくなる。

 被災地の施設では手厚い支えが困難な状況も生じるだろう。医療、介護、福祉の広域連携を含めて「すべての命を守り切る」態勢を構築しなければならない。

 政府、自治体が新型コロナウイルス対策に最優先で取り組むのは当然だが、首都直下地震をはじめ大規模な自然災害はいつ起きてもおかしくない。感染症への関心が高い今こそ、避難所の環境改善が先延ばしの許されない課題であることも、認識すべきである。

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