【芸能考察】メタルの帝王オジー、命がけの傑作「オーディナリー・マン」で10年ぶりに復活

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オジー・オズボーン、10年ぶりの復活作「オーディナリー・マン」

オジー・オズボーン、10年ぶりの復活作「オーディナリー・マン」

 米ではボブ・ディラン(78)やエアロスミスのスティーブン・タイラー(71)、英ではポール・マッカートニー(77)やローリング・ストーンズのミック・ジャガー(76)、ロッド・スチュワート(75)など、最近は70歳超えのロッカーが最前線で活躍する例が珍しくなくなったが、この人が新作を出し、その新作が驚きの傑作だったことには心底、驚いた。

 ヘヴィ・メタルの始祖と呼ばれるバンド、ブラック・サバスで活躍し、その後、ソロに転向し“メタルの帝王”と崇められてきた英のオジー・オズボーン(71)の10年ぶりの新作「オーディナリー・マン」(2月21日発売)を聞いて、メタルが全世界を席けんした80年代の彼の超名作「ブリザード・オブ・オズ~血塗られた英雄伝説」(80年)や「ダイアリー・オブ・ア・マッドマン」(81年)を聞いた時の興奮が蘇ったのだった…。

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 いまから51年前の1969年。英バーミンガムを拠点に無名のバンド「アース」のボーカリストとして活動していた時のこと。

 バンドの練習場だったコミュニティ・センターの向かいの映画館ではホラー映画が上映中で、これが連日大入り満員。その盛況ぶりを眺めていた同じバンドのギター奏者トニー・アイオミ(72)が隣にいたオジーにつぶやいた。

 「怖い映画にわざわざ金を払って見に行く奴があんなにいるんだぜ。ひょっとして、怖い音楽を作ったら人気が出るかもな…」

 こうして生まれたブラック・サバス。目的は人を怖がらせることで、バンドのコンセプトは黒魔術。レコード会社もノリノリで、デビューアルバムの発売日は1970年の2月13日の金曜日!

 無論、サウンドの方も強力で、当時の多くのバンドが使った米生まれのブルーズの音階から逸脱した、不気味かつ重厚でメタリックというかつてないインパクトに多くの人々がおののいた。ヘヴィ・メタルの誕生だ。

 「ウォー・ピッグス」「パラノイド」「アイアン・マン」と超名曲連発。オジーはハイトーンでヒステリックで粘っこく絡みつく絶唱を披露。ステージでは生きた鳩やコウモリを食いちぎるといった奇行怪行でその名を轟かせた。

 しかしアルコールや違法薬物におぼれたオジーは77年にバンドをクビに。巻き返しを図ろうと80年からソロ活動に。メタルの世界的な人気を追い風に爆発的な人気を獲得した。オジーのバンドからは故ランディ・ローズやジェイク・E・リー(63)、ザック・ワイルド(53)といったギターヒーローが生まれた。

 90年代以降も妻のシャロンと文字通り、二人三脚で息の長い活動を展開。自身が主宰するメタルとハードロックが中心のロックフェスティバル「オズフェスト」をビジネスとして大成功させるなど、公私共に、常に派手な話題を提供してきた。

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 そんな彼の最新作だが、10年ぶりの新作とあって力の入り方が違う。バックを固めるのも、ガンズ・アンド・ローゼズの面々(ギタリストのスラッシュ、ベースのダフ・マッケイガン)を始め、ドラムにレッド・ホット・チリ・ペッパーズのチャド・スミス、レイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのギター、トム・モレロら、メタルやハード・ロック系のスターがずらり。

 冒頭から、全盛期の80年代と何ら変わらぬメタリックな粘っこさ全開のオジーの歌声と、スラッシュのギターが冴えまくる「ストレート・トゥ・ヘル」のカッコ良さにのけぞり、楽曲の構造や展開が完全なるブラック・サバスと言っていい「グッドバイ」に大いに感動!。そしてタイトル曲では、あの英の超大物エルトン・ジョン(72)とデュエットし、美しく感動的なピアノバラードを聞かせる(もちろんピアノはエルトン)。

 それにしても、ロック界にその名を轟かせるマッドマン(オジー)とロケットマン(エルトン)の2人が熱唱する楽曲のタイトルが「フツーの男(オーディナリー・マン)」とは笑わせる。

 さらに、全世界で爆発ヒットした昨年発表の最新アルバム「ハリウッズ・ブリーディング」で、尊敬するオジーと共演した米の超個性派ポスト・マローン(24)と共演した「イッツ・ア・レイド」の若々しい疾走感にも強く惹かれる。昨年、衝撃を受けた先行シングル「アンダー・ザ・グレイヴヤード」がかすんでしまう…。

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 この超強力作をひっさげ、世界ツアーを行うのかと思いきや、パーキンソン病のため、今年の北米ツアーをキャンセルしてしまった(2月18日付英BBC電子版など)。十数年前からパーキンソン病を患っており、ここ数年で病状が悪化したらしい。一体、どんな思いでこの新作の製作作業に臨んでいたのだろうか。最後の力を振り絞った故の傑作なのだろうか…。

 そんなことを考えているうち、彼の昔のインタビューの発言を思い出した。

 「人生の頭に来るところは、全部わかった時には遅過ぎるってことだ。逆ならいいのにな。こういう理解力や知識を最初から持って生まれてきて、成長するにしたがってバカになっていく方がいいと思うんだがな」(2002年7月25日付米誌ローリング・ストーン電子版)。    (岡田敏一)

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