新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、日米欧の先進7カ国(G7)の財務相・中央銀行総裁は3日、緊急の電話会議を開く方向で調整に入った。感染拡大が世界経済を下振れさせるリスクは大きく、金融緩和や財政出動を含めた適切な景気刺激策や、金融市場の混乱防止などで協調することを盛り込んだ共同声明を打ち出す見通しだ。
麻生太郎財務相は3日の記者会見で「危機感を持って対応する。各国とも連携していきたい」と述べ、世界経済の動揺を抑える協調行動に前向きな姿勢を示した。G7の緊急電話会議では先進国の足並みがどこまでそろうかが焦点になる。
一方、日本銀行は3日、国債の買い入れで金融市場に5千億円の資金を供給すると発表。2日も同規模の買い入れを通知しており、2日連続で大量の資金供給を行った。黒田東彦(はるひこ)総裁は2日、混乱する金融市場の安定化に向けて、「潤沢な資金供給と市場の安定確保に努めていく」と異例の緊急談話を発表している。
世界経済の下振れ懸念は強まっている。経済協力開発機構(OECD)は2日、2020年の世界全体の実質経済成長率の見通しを昨年11月の前回予測から0・5ポイント引き下げ、2・4%に減速すると発表した。
フランスのルメール経済・財務相は2日のテレビ番組で「経済成長への影響は大きいと見込まれ、最小限に抑えるため私たちは動かなければならない」指摘。G7が具体的な協調行動を打ち出すと予告している。