千葉県野田市で昨年1月、小学4年の栗原心愛(みあ)さん=当時(10)=を虐待して死亡させたとして、傷害致死罪などに問われた父親の勇一郎被告(42)の裁判員裁判第8回公判が5日、千葉地裁(前田巌裁判長)であった。4日に引き続き、弁護側による被告人質問が行われ、勇一郎被告は虐待行為の多くについて否定した。
勇一郎被告は、傷害致死と傷害、暴行、2件の強要という心愛さんに対する5つの罪のほか、妻に対する暴行も含めて計6つの罪に問われている。
内訳は(1)平成29年11月、心愛さんを殴ったとする暴行罪(2)30年7月、心愛さんに大便を持たせ、その様子を撮影したとする強要罪(3)30年12月~昨年1月、心愛さんの腕をつかんで床に打ち付け、顔や胸を圧迫するなどして1カ月の胸骨骨折などを負わせたとする傷害罪(4)昨年1月1日ごろ、妻の胸ぐらをつかんで顔を殴るなどした暴行罪(5)昨年1月5日ごろ、心愛さんの服をつかんで廊下に出し、脱衣所に立たせ続けた強要罪(6)昨年1月22~24日、心愛さんに食事を与えずリビングや浴室に立たせ続けたり冷水を浴びせるなどして死亡させた傷害致死罪-。
このうち(1)の暴行罪については4日に質問があり、勇一郎被告は否定した。この日は残る罪状について質問が行われるとみられる。
午前10時、法廷に姿を現した勇一郎被告は、傍聴席に体を向け、10秒ほど一礼。裁判長に促されて証言台の席に座り、弁護人の質問にゆっくりした口調で答え始めた。
まず弁護側は、30年7月30日に心愛ちゃんに便を持たせ、携帯電話で撮影した(2)の強要罪について質問。勇一郎被告は、虐待の一環で行われた犯行であるという検察側の主張を、改めて否定した。