【主張】中韓から入国制限 実効性ある対応をとれ 医療機関へマスク優先供給を

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 肺炎を引き起こす中国・武漢発の新型コロナウイルスの感染拡大を受け、政府が、中国や韓国などからの入国制限を強める水際対策と、極めて品薄になっているマスクの転売を禁止する方針を打ち出した。

 安倍晋三首相が感染症対策本部の会合で表明した。感染爆発を招かぬよう、いずれも確実に実行に移したい。今やれることには全て取り組まなければならない。

 ただ、いずれも発動が1カ月以上遅れた点は指摘しておきたい。首相をはじめ政府は事態の深刻さを十分理解していなかった。猛省すべきである。

 ≪中国に気兼ねしたのか≫

 政府は、感染が拡大している中韓両国からの日本人を含む入国者に対して、検疫所長が指定する場所での2週間の待機と、公共交通機関の不使用を要請する。

 両国民へ発給済みの査証(ビザ)の効力は停止し、新規発給も極めて慎重に判断する。9日午前0時から実施し、入国者の大幅減少が見込まれる。

 菅義偉官房長官は会見で、今回の水際対策強化を「適切なタイミング」と語った。本気で述べているのなら信じがたい。

 米国は1月31日に公衆衛生上の緊急事態を宣言し、中国全土を対象に過去2週間以内に滞在していた外国人の入国を禁止すると発表した。台湾は2月7日から同様の入境禁止措置をとった。

 日本政府は、中国全土ではなく湖北、浙江両省からの入国禁止にとどめた。2月に入国した中国人は6万人弱にのぼった。

 ところが、習近平中国国家主席の国賓来日延期の発表と同じ日に入国制限強化が示された。中国の北京、上海市などが日本からの入国者に対する2週間の待機を決めてもいた。日本政府は、国民の健康や生命よりも、習政権に気兼ねしたという疑いが晴れない。

 そのような問題点があったとしても、水際対策強化は必須だ。日本を入国制限対象とする国が増えていることは気にかかる。日本は適切に対処している、信頼できる国だと国際社会から認められるようになる必要がある。

 解せないのは、入国者の待機や公共交通機関の不使用が「要請にすぎない」と強調されている点だ。法律に直接的な根拠がないからだが、政府や国会は自らの不作為を恥じるべきである。

 そもそも、主権国家には緊急権が備わっている。指示に従わない者は取り締まると、首相や加藤勝信厚生労働相、森雅子法相らは発信してもらいたい。「要請」が破られてからでは遅すぎる。

 待機場所がホテルなど宿泊施設というのも理解しがたい。自衛隊の宿舎などを使用し、移動も含め国や自治体の目が行き届く対応をとらねば実効性を伴わない。

 ≪「強い言葉」で発信せよ≫

 観光業や小売業をはじめ経済への影響は大きいが、ここで手をゆるめて感染が広がれば、経済的被害ははかりしれないものとなる。業界や国民は我慢のしどころだが、政府は10日にまとめる緊急対策の第2弾で思い切った支援策を示してほしい。

 国民生活安定緊急措置法に基づきマスクの転売や買い占めを禁じ、罰則を設けることは当然だ。徹底した取り締まりを求めたい。同時に、買い占められたマスクが死蔵されないよう、政府が買い上げるなどの措置が必要だろう。

 新型ウイルスとの戦いが長引く場合、マスク供給はさらに逼迫(ひっぱく)しかねない。感染症指定医療機関はむろんのこと、その他の病院、クリニックでもマスクがなくなれば機能が止まってしまう。高齢者が暮らす介護施設でも新型肺炎被害を減らすためマスクは欠かせない。医療機関、高齢者施設への優先供給に努めるべきだ。

 そのうえで一般へのマスク供給を進めたい。台湾や韓国では公的機関が関与して市民への効率的な供給に努めている。政府は教えを請うて対応したらどうか。

 新型ウイルスの検査が断られるケースが相次いだことを受け、6日から検査に公的医療保険が適用された。ただ、「帰国者・接触者外来」など一部医療機関にしか検査依頼を認めない。

 民間のクリニックなどへも広げるべきだろう。医師の診断に基づく検査依頼なら医療崩壊は防げる。検査を拡充することで、早めの治療開始と、軽症者による感染拡大の防止につなげたい。

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