農林水産省は10日、与党の会合や同省の有識者会議で、中長期で取り組む農政の方針を定めた「食料・農業・農村基本計画」の見直しに向けた原案を示した。国内の食料消費が国産でどの程度賄えているかを示す食料自給率は、熱量で換算するカロリーベースで令和12年度に45%を目標に据える方針を打ち出し、現行目標(7年度に45%)と同じ水準とした。ただ、平成30年度は過去最低の37%に低迷しており、実現の道筋をどう描くかが問われる。
与党や有識者会議で議論を重ね最終案をまとめ、月内をめどに閣議決定する。
金額で換算する生産額ベースでは令和12年度に75%とし、現行目標(7年度に73%)から2ポイント上方修正。平成30年度は66%で、9ポイント引き上げる必要がある。
現行の食料自給率では、国内で生産した畜産物でも、輸入飼料を与えていれば国産に算入していない。
今回の基本計画の見直しにあたっては、飼料が国産か輸入かを問わない「食料国産率」と呼ぶ新たな指標も導入。令和12年度にカロリーベースで53%、生産額ベースで79%を目指す。
一方、少子高齢化や人口減少に伴い、農地面積や農業就業者数は減少が続く。
農地面積は、荒れた農地の発生を防ぎ再生に努める効果を織り込んだ姿で、12年時点で414万ヘクタールとの見通しを示した。元年現在は439万7千ヘクタールで、小幅な減少にとどめたい考え。農業就業者数も、49歳以下の新規就農を促すなど担い手の確保に取り組むことで、12年に140万人(平成27年は208万人)とした。
農林水産物・食品の輸出額は、6日の政府の関係閣僚会議で示した「令和12年に5兆円」との新たな目標を盛り込んだ。ただ、元年は従来目標の1兆円には届かなかっただけに、「5兆円と聞いて、にわかに腑に落ちる人はいない」(自民党議員)などと実現性に懐疑的な声も上がった。