ルームサービス５千円分提供、子供連れの家族は宿泊料無料…。新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けているホテル業界が、客の呼び込みに知恵を絞っている。ホテルでのテレワークを勧めるなど工夫を凝らしたプランも登場。滞在空間としての快適さをアピールし、次の利用につなげたい考えだ。
ホテル日航大阪（大阪市中央区）は３月１９～３１日、小学生以下の子供がいる家庭全員分の１泊分の宿泊・駐車・朝食代が全て無料というプランを打ち出した。用意する部屋はスタンダードツインかスタンダードトリプル。大人２人、小学生１人でスタンダードトリプル利用の通常料金は１室１泊約３万６千～４万６千円（朝食付、税・サービス料込み）。大阪府内在住者が対象で、一部屋に宿泊できる人数を目安とする。
赤字覚悟のプランだが、有料となる２泊目以降の連泊利用に期待をかける。「学校の休校で外出を控えがちだが、室内に閉じこもるならホテルの部屋で思い出づくりを」と広報担当者。宿泊などのキャンセルが続くが、飲食店などを備えるフルサービス型ホテルの強みをアピールしたい考えだ。１５日まで公式ウェブサイトで予約を受け付け、１日３室限定で抽選で計３９組に提供。室内で遊べるトランプや塗り絵などもプレゼントする。１２日時点ですでに７千組の応募があるという。
ホテルニューオータニ大阪（中央区）はホテル内の託児所で３時間、生後３カ月以上の未就学児を預かり、朝食か昼食の１食分を提供する宿泊プランを販売。臨時休園となった幼稚園・保育園児のいる家庭などの利用を想定し、夕食１割引の特典も付ける。料金は大人２人と子供１人で１泊４万１千～４万２千円。広報担当者は「大変な思いをされる家庭が多いが、ホテルで少しでもリラックスしていただきたい」と話している。
家族連れだけでなく、ビジネスマンの取り込みを狙ったプランも登場。ウェスティンホテル大阪（北区）は、人混みを避けようと自家用車での移動が増えると見込み、駐車代無料の宿泊プランを１泊３万６千円（宿泊税別）で売り出した。
１泊につき５千円分のルームサービスを提供。チェックアウトは３時間延長する。職場に出勤せずに仕事をこなすテレワークが推奨されていることが視野にあり「家族連れだけでなく、テレワークにも使ってもらえたら」と期待する。
