【ワシントン=塩原永久】12日のニューヨーク株式市場は暴落し、ダウ工業株30種平均の終値は、前日比2352・60ドル安の2万1200・62ドルと過去最大の下げ幅を記録した。下落率は9・99%となり、1987年10月の大暴落「ブラックマンデー(暗黒の月曜日)」(下落率22・61%)以来の大きさ。取引開始直後に急落したことから、今週2度目となる取引停止措置が発動された。
欧州株式市場でも英仏独の主要株価指数が軒並み10%を超す下落率となっており、欧米市場は歴史的な急落が連鎖している。
欧州や米国で新型コロナウイルスの感染者が増加。トランプ米大統領が前日、感染拡大対策として唐突に欧州からの入国停止を発表し、投資家が世界経済の下振れ懸念を強めた。
ダウ平均の終値は2017年6月以来、約2年9カ月ぶりの安値。2月12日につけた過去最高値2万9551・42ドルから約8350ドル、28・3%下げた。
ニューヨーク市場の取引開始から数分後、主要指標の下落率が規定の7%に達し、取引が15分間停止される措置「サーキットブレーカー」が発動された。
取引時間中にニューヨーク連邦準備銀行が計1兆5千億ドル(約158兆円)を短期金融市場に供給すると発表。ダウは一時下げ足を緩めたが、午後にかけて再び下落基調となった。欧州中央銀行(ECB)も量的緩和の拡大を決めたが、欧米株式市場でリスク回避の姿勢を強める投資家の警戒感を払拭できなかった。
ハイテク株主体のナスダック総合指数は750・25ポイント安の7201・80。
銘柄別では、ユナイテッド航空などの航空大手全般に加え、航空機製造大手のボーイング、娯楽・メディアのウォルト・ディズニーが大きく下落した。