新型コロナウイルスの感染が拡大する中、各地でウイルスの除去やマスクの配布をかたる不審な電話やメールが相次いでいる。インターネットの通販サイトではマスクを安価に出品して法外な送料を請求する悪質な商取引なども確認されており、政府は15日からマスクの転売を罰則付きで禁止する政令改正を施行。小中高校の一斉休校に伴って子供を狙った犯罪なども想定され、警察当局などは警戒を強めている。(玉崎栄次、千葉元)
詐欺グループ暗躍か
「コロナウイルスに関する大切な説明がある。詳しくは家に伺って話す」
2月26日、仙台市の80代の女性宅に男の声で電話がかかってきた。男は警察官を名乗ったが、不審に思った女性は訪問を断り、宮城県警に相談したという。
不審電話は各地で頻発している。長野県では保健所職員を名乗って家族構成を聞き出そうとするケースが発生。群馬県や大阪府では水道管や下水道に「コロナウイルスが付いている」と持ち掛け、除去費用を請求しようとする手口も確認。捜査関係者は「深刻な犯罪につながる可能性がある」と懸念する。
こうした電話は特殊詐欺グループが事前にターゲットの情報を収集する「予兆電話(アポ電)」の疑いがあり、各警察が注意を呼び掛ける事態となった。
サイバー犯罪者の便乗も危惧される。国民生活センターには、スマートフォンに「マスクの無料送付」をうたうショートメッセージサービス(SMS)が届いたとの相談が寄せられた。
情報セキュリティー会社「トレンドマイクロ」によると、こうしたSMSは2月初旬から出回り始めた。記載されたURLにアクセスすると、偽サイトに誘導され、個人情報などが盗まれる「フィッシング詐欺」被害に遭う危険性がある。
感染拡大で知事が外出自粛などを求める緊急事態宣言を出した北海道では、マスク代金を要求する架空請求メールも確認された。