6月28日、過去最多の来場者を記録した大阪・関西万博で、閉場後の帰宅客輸送に大規模な混雑が発生しました。運営する日本国際博覧会協会(万博協会)は4日、特に西ゲートからJR桜島駅へ向かうシャトルバスで約100人が乗車できなかったと発表しました。タクシーでの代替輸送が行われましたが、全員の帰宅が完了したのは閉場から2時間後でした。この大阪万博 混雑は、今後の夜間イベント開催日における輸送体制の課題を浮き彫りにしています。万博協会は、同様の事態の再発防止に向け対策を検討しています。
6月28日は、日本三大花火の一つとされる秋田県大仙市の「大曲(おおまがり)の花火」が大阪の万博会場で打ち上げられたこともあり、過去最多となる18万4990人が来場しました。花火は午後7時50分頃から約5分間披露され、終了後の午後8時以降に多くの来場者の帰宅が集中しました。
西ゲート、シャトルバスに乗れない約100人
シャトルバスとタクシーが発着する西ゲート前では、午後10時20分頃に最大約6000人が滞留しました。万博協会によると、シャトルバスのうち最も利用が多い桜島駅行きについては、午後8時以降に臨時の25本を増便し、計148本を運行しました。最終バスの時刻も、JR桜島駅発の終電に間に合うよう午後11時37分まで27分繰り下げられました。しかし、予約なしの列に並んでいた約100人がシャトルバスに乗車できませんでした。代替の交通手段はタクシーしかなく、バスに乗れなかった利用者からは不満の声が出たといいます。万博協会の淡中泰雄・交通部長は「全員を運びきれず、申し訳ない。再発防止に努める」と述べています。
大阪万博 西ゲート シャトルバス乗り場の混雑状況 (2024年6月28日)
東ゲート夢洲駅も長時間滞留
一方、大阪メトロ中央線夢洲(ゆめしま)駅に直結する東ゲートでも、同様に帰宅客の集中による混雑が発生しました。夢洲駅周辺では、東ゲートを出て駅へ向かう人々が長い列を作り、駅構内への集中を避けるため、周囲を回りながら進む必要がありました。大阪府豊中市から訪れた会社員の女性(40)は、午後9時に東ゲートを出てから電車に乗るまで1時間半かかったと語っています。「どこまで行けば駅に着くのか分からなかった。暗いし暑く、歩き続けるのはしんどかった」と、当時の状況を振り返りました。
大阪万博 東ゲートから夢洲駅へ向かう帰宅客の混雑 (2024年6月28日)
夜間イベント後の課題と今後の対策
万博会場では、パビリオンの閉場が午後9時であるのに対し、花火やドローンショーなどの夜間イベントはそれ以降に行われるため、終了後に来場者が一斉に帰宅する構造的な課題があります。万博協会は、こうした帰宅時間の集中を分散させるため、7月1日から会場内の飲食店や物販店の営業時間を午後9時半まで30分延長する措置を講じました。また、今後混雑が予想される日には、今回の事態を踏まえ、西ゲートの桜島駅行きシャトルバスを完全予約制とすることも検討しています。さらに、混雑が予想される場合の来場者への周知強化についても検討を進めるとしています。
今回の6月28日の出来事は、大阪・関西万博における輸送体制の課題を浮き彫りにしました。過去最多の来場者と夜間イベントが重なったことで発生した大規模な帰宅混雑は、特に交通インフラの容量が試される結果となりました。万博協会は既にいくつかの対策を講じ始めていますが、今後も同様の混雑が予想される日があるため、予約制の検討や情報提供の強化など、さらなる対応が急務となっています。万博を訪れる人々が安全かつスムーズに帰宅できるよう、継続的な改善が求められます。
参考資料: