関西電力の第三者委員会(委員長・但木敬一元検事総長)が14日、同社役員の金品受領問題の調査報告書をまとめた。これを受け、次の焦点となるのが刑事責任の追及だ。第三者委は、関電側による福井県高浜町の元助役、森山栄治氏側への便宜供与を認定する一方、確実な証拠がないなどとして、刑事告発は「難しい」と言及。ただ市民団体が関電役員らに対する告発状を大阪地検に提出しており、対応に注目が集まっている。
報告書は、森山氏の要求に応じ同氏関連企業に工事を発注した事例があり、関電の便宜供与があったと認定した。
ただ立件には、贈った金品と、その見返りとなった発注を“ひもづけ”する必要がある。報告書は大半の金品提供と、個別の発注要求との関連性が明らかでなかったと指摘。但木委員長は「推定はできるが、確実な証拠がない。公訴時効を迎えているケースもあり、立件は難しい」との見方を示した。
市民団体「関電の原発マネー不正還流を告発する会」は昨年12月以降、関電の八木誠前会長ら12人に対する会社法違反(特別背任、収賄)、背任、所得税法違反の4つの罪で告発状を提出。会社法の収賄罪は取締役らが対象で、不正行為の依頼が森山氏側にあったことが要件となる。
14日に記者会見した告発代理人の河合弘之弁護士は「賄賂があったのは明確で、不適切な関係だったのは事実。第三者委の限界がはっきりした」とし、「大阪地検の捜査により、未解明な闇の部分を解明してくれることに期待したい」と述べた。