米FRBが1%緊急利下げ、ゼロ金利に 7千億ドル金融緩和も





米連邦準備制度理事会(FRB)の建物=ワシントン(ロイター)

 【ワシントン=塩原永久】米連邦準備制度理事会(FRB)は15日、臨時の連邦公開市場委員会(FOMC)を開き、主要政策金利を1・0%引き下げて0~0・25%にし、事実上のゼロ金利政策を実施することを決めた。FRBは声明で「新型コロナウイルス感染症が多くの国で社会・経済活動を害している」と指摘し、景気への影響を最小限に抑える方針を示した。計7千億ドル(約74兆円)規模の資金を市場に供給する金融緩和にも踏み切る。

 FRBは3日の臨時FOMCで政策金利を0・5%引き下げ、年1・0~1・25%にしたばかりだった。今回さらに、2008年の金融危機「リーマン・ショック」後に導入したゼロ金利を15年末以来、約4年ぶりに再開し、緊急手段を用いて危機対応に当たる姿勢を鮮明にした。

 記者会見したパウエル議長は、新型コロナの感染拡大が「米国と世界に深刻な影響がある」と述べ、米国ですでに旅行・観光産業に打撃が及んだと説明。さらに経済影響が広がる前に、利下げによって景気を下支えする必要性があるとの認識を示した。

 またパウエル氏は「すべての政策手段をとる準備がある」と述べ、さらなる追加対応策に躊躇(ちゅうちょ)しない考えを示した。マイナス金利導入の可能性は「米国では適切ではない」と否定した。

 声明によると、国債などを5千億ドル以上、不動産担保証券(MBS)を2千億ドル以上それぞれ購入。市場に資金を投じてお金の流れを円滑にする。

 FRBは次回の定例のFOMCを17~18日に予定していたが、これを15日の臨時会合に代える。同日のFOMCでは1%の利下げ案に1人が反対した。

 FRBはさらに、他国・地域の主要中銀と協調行動をとり、金融市場の混乱を回避するとした。



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