米大統領選民主党討論会 「革命」か「現実路線」か…コロナで舌戦





討論を行う(左から)バイデン氏、サンダース氏=15日、ワシントン(ロイター)

 【ワシントン=大内清】11月3日の米大統領選に向けて15日に首都ワシントンで行われた民主党の候補者討論会は、新型コロナウイルスの感染拡大による社会不安や経済混乱が中心的なテーマとなった。急進左派のサンダース上院議員(78)が、持論である医療保険制度の抜本改革や富裕層への批判といった点に議論を引き込もうとしたのに対し、中道穏健派のバイデン前副大統領(77)は、より着実に対策をとり得るのは自分だと主張。両者の政治姿勢の違いが際立った。

 「民主社会主義者」を自認するサンダース氏は、国民皆保険の実現や富裕層への課税強化などを主張し、民主党主流派から「過激」だと警戒されている。今回の討論会でも、現行の医療保険制度では負担が多額になることを懸念した人たちが病院に通えず、「通常でも最大で年6万人が死亡している」などと指摘。新型コロナウイルスへの危機感が強まっているこの機に、国民皆保険の実現に向かうべきだと訴えた。

 これに対して党主流派の後押しを受けるバイデン氏は、イタリアなどにはサンダース氏が主張するものに近い公的医療保険制度があるにもかかわらず新型コロナウイルスの被害が深刻化したと指摘し、感染拡大の防止と「国民皆保険(の有無)は全く関係がない」と切り捨てた。

 サンダース氏はまた、著しい経済格差も感染拡大の一因だとして社会構造の変革を訴えたが、バイデン氏は「アメリカ人の多くが求めるのは革命ではなく結果だ」と切り返し、サンダース氏の土俵には乗らない姿勢をみせた。

 一方、新型ウイルスの発生源となった中国での情報隠蔽が世界的な感染拡大を招いたとの指摘について、サンダース氏は「中国は今回の危機から多くを学んだ。今は罰するのではなく支え合うときだ」と、中国に厳しい態度をとるべきではないと言明。バイデン氏は「危機の当初から米国の専門家を中国に派遣して、世界で指導的な役割を果たすべきだった」と述べるにとどめた。



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