【主張】相模原殺傷に死刑 「事件」は終わっていない

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 19人もの入所者が殺害され、職員を含む26人が重軽傷を負った。結果の重大性から、死刑の判断は不可避だった。

 これで判決が確定しても、事件を終わりにしてはならない。肝心の再発防止策は、置き去りにされたままだ。

 相模原市の知的障害者施設「津久井やまゆり園」で平成28年7月、入所者ら45人が殺傷された事件の裁判員裁判で横浜地裁は、殺人罪などに問われた元職員、植松聖被告に死刑判決を言い渡した。

 被告は公判中も「重度障害者は周囲を不幸にする不要な存在」などと身勝手な主張を繰り返した。到底許しがたい、ゆがんだ差別感情である。弁護側の、被告は大麻による精神障害で心神喪失状態だったとする主張も退けられた。

 問題は、事件の教訓が何も残されなかった点である。裁判の終わりとともに、忘れ去られることを危惧する。

 安倍晋三首相は29年1月の施政方針演説で「決してあってはならない事件であり、断じて許せません。精神保健福祉法を改正し、措置入院患者に対して退院後も支援を継続する仕組みを設けるなど、再発防止策をしっかりと講じる」と述べた。

 厚生労働省は当初、法改正の趣旨説明資料に「二度と同様の事件が発生しないよう法整備する」と記載したが、「治安維持の道具に使うべきではない」との指摘を受けてその文言を削除した。

 被告が措置入院の退院後に犯行に及んだことを受け、退院後の支援計画作成に警察も参加するとした当初の改正案は野党や医療関係者から「監視の強化になる」などの反発を受けて頓挫した。

 こうして骨抜きとなった改正案は、29年9月の衆院解散で廃案となった。その後の動きはない。

 平成13年、大阪教育大学付属池田小学校で児童8人を殺害した男も措置入院の2年後に犯行に及んだ。男に死刑を言い渡した大阪地裁の裁判長は判決の朗読後、「子供たちの被害が不可避であったはずはない、との思いを禁じ得なかった。せめて、二度とこのような悲しい出来事が起きないよう、再発防止のための真剣な取り組みが社会全体でなされることを願ってやまない」と述べた。

 願いは通じることなく相模原の事件は起きてしまい、なおも手付かずのままである。

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