20日投開票された参議院選挙において、選挙区の落選者で最も多くの票を獲得した候補と、当選者で最も少ない票数で議席を得た候補との間に、大きな得票差が確認されました。この「一票の格差」は近年拡大傾向にあり、今回の選挙結果でもその状況が鮮明になりました。
最高得票落選者と最低得票当選者の具体的な事例
今回の参院選で、選挙区落選者の中で最多の得票を得たのは、神奈川選挙区(改選数4)で敗れた公明党の佐々木さやか氏でした。佐々木氏は57万1796票という多数の票を獲得したにもかかわらず、惜敗しました。
参院選神奈川選挙区で最多得票ながら落選した公明党の佐々木さやか候補
これに対し、当選者の中で最も得票が少なかったのは、和歌山選挙区(改選数1)の無所属、望月良男氏で、その得票数は14万1604票でした。この結果、佐々木氏と望月氏の間には実に4.0倍もの得票数の開きが生じることになります。
近年の得票格差の傾向
参議院選挙における最高得票落選者と最低得票当選者の間の「格差」は、近年拡大の一途を辿っています。過去の選挙を見てみると、2019年の参院選では2.7倍、2022年の参院選では3.9倍となっており、今回の4.0倍という数字は、この不均衡がさらに広がったことを示しています。これは、有権者の一票の重みが地域によって大きく異なるという、選挙制度上の課題を改めて浮き彫りにしています。
その他の高得票落選者と低得票当選者
佐々木氏に次いで高得票で落選したのは、埼玉選挙区(改選数4)の公明党・矢倉克夫氏で、その得票は44万1613票でした。さらに、新潟選挙区(改選数1)からは自民党の中村真衣氏が42万8167票を獲得しましたが、こちらも惜しくも議席を逃しました。これらの候補者はいずれも、当選した候補者と激しい接戦を繰り広げた結果での落選でした。
一方、望月氏に次いで低得票で当選したのは、福井選挙区(改選数1)の自民党・滝波宏文氏(14万6420票)、そして山梨選挙区(改選数1)の国民民主党・後藤斎氏(15万6986票)でした。これらの事例もまた、当選に必要な得票数が選挙区によって大きく異なる現状を示しています。
まとめ
今回の参院選における得票結果は、一部の落選者が多くの票を得ながらも議席を得られず、一方で少ない票数で当選する候補者がいるという「一票の格差」の問題が依然として存在し、その開きが拡大している現状を浮き彫りにしました。この得票格差は、民主主義における有権者の声の反映という観点から、今後の選挙制度のあり方を巡る議論において重要な論点となるでしょう。
参考文献
- Yahoo!ニュース: 参院選「最多得票落選者」は佐々木さやか氏 当選者との「格差」4.0倍に拡大 (https://news.yahoo.co.jp/articles/31bd9f455f8d81fb5b934aca54d8bcb50fb3813e)
- 時事ドットコムニュース: 参院選「最多得票落選者」は佐々木さやか氏 当選者との「格差」4.0倍に拡大 (https://www.jiji.com/jc/article?k=2024072100069&g=pol)