防衛省は10日、東京・市谷の同省敷地内に旧陸軍が造った地下壕を報道各社に公開した。先の大戦中、大本営陸軍部や陸軍参謀本部が置かれていた。同省は1年間かけて補強工事を終えており、一般公開する。
天井の高さ4メートル、幅4・6メートル。長さ52メートルの壕3本と、48メートルの2本が直角に交差しており、陸軍大臣室、通信室、便所、調理場などの跡が残る。今回、その一部が公開された。内部は薄暗く、壁には大小のひびや、地下水の染みも目立つ。
地下壕は、終戦時に阿南惟幾(これちか)陸相が戦争継続を求める部下の将校を集め、「天皇陛下のご聖断」に従う旨を伝えた場所とされる。4月の一般公開開始を予定していたが、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて当面延期した。