重度障害を理由に就学先を神奈川県の特別支援学校に指定されたのは差別に当たり違法だとして、川崎市の光菅和希さん(8)と両親が、市と県に希望通り地元の小学校への通学を認めるよう求めた訴訟の判決公判が18日、横浜地裁で開かれ、河村浩裁判長は原告側の請求を棄却した。
判決理由で河村裁判長は、市と県の教育委員会の判断過程に過誤や不合理な点はなく、「その内容が社会通念に照らし、著しく妥当性を欠くものとは認められない」と指摘。就学通知の取り消しと、小学校指定の義務付けの訴えは、「裁量権の逸脱または乱用に当たるともいえない」などとして退けた。
原告側弁護団によると、障害を理由にした差別的扱いを禁じる障害者差別解消法が平成28年に施行後、就学先の指定をめぐって行政の違法性を問う訴訟は初。
訴状などによると、和希さんは難病の先天性ミオパチーで人工呼吸器を装着。30年4月の小学校入学に際し、両親は地元の市立小を希望したが、市教委は「専門的な教育が適切」として、県の特別支援学校に就学するよう通知したとしている。市と県は請求棄却を求めていた。
判決後、県の桐谷次郎教育長は「今後、詳細を確認しますが、本県の主張が認められたものと受け止めています」とのコメントを発表した。