「水着出したよーん」27歳店長を奪った凶行 静岡ガールズバー刺傷事件の新事実

〈やほーん 衣替えした 水着出したよーん〉(7月4日14時5分)――これは常連客だった山下市郎容疑者(41)にナイフで刺され亡くなった、ガールズバー店長の竹内朋香さん(27)が、事件の2日前に残していたブログの一部です。投稿からおよそ35時間後、顔見知りだった男の凶行で亡くなるとは、誰が予想できたでしょうか。

捜査で明らかになった新事実

静岡県警は7日、殺人未遂の疑いで現行犯逮捕していた山下市郎容疑者の容疑を殺人に切り替え、身柄を検察に送致しました。事件から2日が経ち、容疑者が犯行に及ぶまでの経緯が少しずつ明らかになってきています。

地方局報道部記者によれば、竹内さんとともに殺された伊藤凛さん(26)は、事件の2日前にいわゆる同伴(客と出勤前に食事などをすること)をしていました。この同伴中に伊藤さんは体調不良を理由に当日欠勤する旨を店に連絡しましたが、その後、竹内さんらが連絡を試みても、事件が起こるまで連絡がつかなかったようです。

さらに捜査関係者によると、山下容疑者は犯行後、店側の人間に向かって「小馬鹿にされてやっちゃった。ごめん」などと発言していたことも新たにわかっています。竹内さんと伊藤さんの遺体からは複数の刺し傷が確認されており、警察は初めから2人を狙った計画的な犯行だった可能性も視野に、慎重に捜査を進めています。

犯行当日の緊迫した状況

事件当日の日付が変わる頃、山下容疑者は自らが運転する車に伊藤さんを乗せ、ガールズバーの店に現れました。この時、伊藤さんは周囲から見て「脅されているような雰囲気」だったといいます。

ガールズバーに到着した山下容疑者は、まず店内にいた竹内さんを背後から“ククリナイフ”で突然刺しました。その後、店外へ逃げようとした伊藤さんも追いかけ、襲いかかりました。犯行はものの数分間の出来事だったとされています。

近隣の飲食店従業員は、事件発生時に「ギャー!!」という女性の悲鳴を聞いています。「店のほうから2~3人の人たちが走って逃げていった後、叫び声が途絶えました。おそらく、他のスタッフの女の子たちも逃げ惑っていたんだと思います。男のものらしき声は聞こえなかったけど、怖くて外には出られなかった」と証言しています。

ガールズバー刺傷事件 山下市郎容疑者(41)が犯行後、警察官に連行される様子ガールズバー刺傷事件 山下市郎容疑者(41)が犯行後、警察官に連行される様子

NEWSポストセブンが入手した店付近の防犯カメラ映像は、この緊迫した一夜の一部始終を捉えていました。

事件の背景と今後の捜査

今回の静岡ガールズバー刺傷事件は、常連客による予想外の凶行として社会に衝撃を与えています。山下容疑者の犯行後の供述からは、被害者との間に何らかのトラブルがあったことが示唆されています。「小馬鹿にされた」という動機が事実なのか、あるいは他の要因があったのかなど、事件の詳しい背景については今後の捜査の進展が待たれます。警察は、山下容疑者と被害者2人の関係性、犯行に至るまでの詳しい経緯、そして計画性の有無について、防犯カメラ映像や関係者の証言などを元に解明を進めています。