国土交通省が18日発表した令和2年の公示地価(1月1日時点)は、世界的なスノーリゾート「ニセコ」のある北海道倶知安(くっちゃん)町で住宅地と商業地のいずれも平均変動率が大きく上昇し、町内の調査地点が前年に続き上昇率全国トップとなった。
同町では北海道新幹線や自動車道の延伸が予定され、インフラ整備に伴う投資や交通利便性の向上への期待が高いことも上昇要因となっている。
パウダースノー高評価
ニセコをはじめ、日本の雪質は「日本」と「パウダースノー」と組み合わせて「JAPOW(ジャパウ)」と呼ばれ、世界のスキーヤーから高く評価されている。倶知安町では10年以上前から、富裕層が長期滞在用に購入するコンドミニアム(アパート式別荘)の建設ラッシュが地価を押し上げてきた。
当初は、豪州からの訪日スキー客が中心だったが、「ニセコ」ブランドの認知度が高まり、ここ数年は香港やシンガポールなどアジア系の客が増加した。
北海道不動産鑑定士協会によると、アジア系外国人による旺盛な別荘地需要がある。リゾート施設従業員の住宅用地のほか、建設作業員用の賃貸住宅の需要も。インフラ整備が進められることから、JR倶知安駅前や国道沿いの商業地では投資の引き合いがあるという。
しかし、リゾートエリアへの交通拠点となる倶知安駅前周辺はしゃれた飲食店などが点在するものの、シャッターが下りた店舗も目立つ。同協会の斎藤武也副会長は「転売は起きておらず、新幹線の新駅開業を待っているのではないか」とみる。
大都市圏に比べ低価格
住宅地の上昇率全国トップとなった調査地点は、早くから開発されたスキー場「グラン・ヒラフ」に近接する別荘地で2年連続の1位。上昇率は44%で、価格は1平方メートル当たり10万8000円となった。全国2位も同町の比較的駅に近い調査地点で、上昇率は30・6%。価格は同4万7000円となっている。