フランス政府「マスク不要」論に高まる異論 「アジアを見習え」の声 





マスクを着用して接客する精肉店の店員=20日、パリ(AP)

 【パリ=三井美奈】新型コロナウイルス感染が広がるフランスで、「予防用マスクは不要」とする政府方針に見直し要求が高まっている。警察官や郵便局員は「安全が確保されない」としてマスク支給を要求。医療関係者にも「アジアを見習え」とマスクの予防効果を訴える声が出てきた。

 フランスでは新型コロナの広がりを受け、マスクの在庫や配布は政府が管理している。世界保健機関(WHO)は、健康な人はせきなどの症状がない場合、マスク着用は「感染者の世話をする場合」だけでよいとしていることから、仏政府はマスク支給を医療関係者に限定。17日に外出禁止令が施行された後、街頭で任務を続ける警察官や郵便局員には支給してこなかった。カスタネール内相は「マスク非着用でも危険はない。同じマスクを着け続ける方が危険」と訴えた。

 これに対し、警察労組は「マスク不足の中、われわれが犠牲にされた」として任務拒否の呼びかけを開始。郵便局も職場ボイコットで、21日は全国休業を迫られた。ベラン保健相は21日、2億5000万枚のマスク発注を発表し、「配布の方法を検討する」と表明した。

 フランスでは一般に「マスクは病人がつけるもの」とされてきた。だが、新型コロナはアジアに比べて欧州での感染拡大の勢いが激しいことから、医療界でもマスクの効用に注目が集まった。

 仏紙パリジャンでは医師らが連名で「東南アジアはマスク着用を一般に広げ、外出禁止令なしに感染拡大を押さえた」として、政府の方針見直しを訴える公開書簡を発表。ルモンド紙は、日中韓などアジア各国でマスク着用が奨励されている現状を紹介し、欧州とアジアの格差を報じた。



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