外務省は25日夜、新型コロナウイルスの世界的な感染拡大を受け、全世界を対象に不要不急の渡航の自粛を求める危険情報の「レベル2」を出した。感染拡大で各国が国境封鎖や外出禁止措置を講じ、海外に滞在する邦人の帰国が困難になる事態が生じていることから判断した。危険情報を全世界に一律に出すのは初めて。
外務省によると、海外では、国内感染が比較的抑制されていてもウイルスの流入を防ぐため厳しい出入国制限や航空機の発着禁止措置を講じている国が目立つという。今回の渡航自粛要請は、こうした状況を踏まえ、邦人が海外で行動制限を受けたり、帰国が困難になったりする事態を防ぐ狙いがある。海外に滞在した邦人の感染が帰国後に判明するケースが相次いでいることも考慮した。
政府は、米国や中国、韓国、欧州各国などに対し「感染症危険情報」の「レベル2」を出し、不要不急の渡航自粛を求めている。感染症危険情報のレベル2の対象となっている国からの入国者には、水際対策として自宅やホテルなどでの2週間の待機や、移動に公共交通機関を使わないことなどを求めている。
外務省が25日に発表した「危険情報」は現地の治安情勢などに基づく措置で、新型コロナに関し発表してきた「感染症危険情報」とは別の扱い。「レベル2」でも入国者に2週間の待機などは求めない。
外務省は感染症危険情報で、中国やイタリアの一部などは渡航中止を勧告する「レベル3」とし、全世界には十分な注意を促す「レベル1」を適用している。