内定取り消し者を救え 中小・ベンチャーで採用活用





 就職氷河期世代の中途採用内定者(右側)と面会する西村・全世代型社会保障改革相(左端)=25日、内閣府

 新型コロナウイルスの感染拡大による経済への影響が深刻化するなか、4月入社を控えた新卒者の企業による採用内定取り消しが増えている。救いの手を差し伸べようと、中小・ベンチャー企業でも、内定取り消し者を対象にした採用選考を急遽始めるところが出ている。

 妊娠・子育て層向けアプリを手掛けるカラダノート(東京都港区)は、今年3月に大学、短大、専門学校卒業予定者で内定取り消しになった人を対象にした採用活動を始めた。4月に若干名採用し、マーケティング関連の部署に総合職として配属する予定だ。

 卒業式の中止や延期に加え、内定の取り消しで進路の先行きが不透明になり、新卒者の多くが不安を抱えている。カラダノートの担当者は「本人たちは悪くないのに窮地に立たされている。でもここを乗り越えられる人材はきっと優秀だと考えている」と、内定が取り消された新卒者に期待をかける。

 カラオケやレストランの企画運営のニュートン(同新宿区)も、リゾートホテルを手がけるサンザ(同)と共同で、いったん終了していた採用活動を再開した。内定が取り消された学生を対象にしたオンライン会社説明会をすでに2回実施。3回目を4月3日に開く。最大で20人を採用する計画。新型コロナウイルス流行による安全対策のため、入社時期を5月または6月からと選べるようにした。また入社式や入社後の研修も6月に行う。

 このほか、北陸地方を中心にカレー店チェーンを展開するゴーゴーカレーグループ(東京都千代田区)、データ分析のデータアナリティクスラボ(同中央区)も内定を取り消された学生を対象にした採用活動を始めた。

 加藤勝信厚生労働相は29日のNHK番組で、新型コロナウイルスの感染拡大の影響で今春の採用内定を取り消された学生らが28日現在で32人いることを明らかにした。感染終息の兆しが見えず、世界的な経済混乱が深刻化しており、平成20年のリーマンショックの時と同様の内定取り消しが相次ぐとの懸念が高まっている。



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