日本郵政グループは2日、かんぽ生命保険の不正販売問題で失墜した信頼の回復に向け、外部の有識者で構成する有識者委員会「JP改革実行委員会」を設置し、都内で初会合を開いた。再発防止策の進展状況を検証してもらうほか、保険商品の販売再開の時期や条件などについての助言も求める。
委員会は企業統治(ガバナンス)や消費者問題などが専門の計5人の専門家で構成し、今後は2カ月に1回をめどに開催する。外部の視点を経営に生かし、改善策のモニタリングにとどまらず、組織風土の改善や従業員の意識改革や経営上の重要課題などへの提言を通じ、広く改革の実行を促す。
日本郵政の増田寛也社長は同日、「郵政の中の常識が国民の視点から乖離(かいり)していないかとの懸念がある」との問題意識を述べ、「そうしたずれを指摘していただきたい」と要望した。委員会の座長に就任した一橋大学特任教授の山内弘隆氏は「郵政は公的な存在で信頼や安心感が基本だが、これとの乖離をどう埋めていくかが課題だ」と語った。
郵政グループは金融庁などからの業務停止命令が解除された4月以降も保険の営業販売再開を見送っている。増田氏は再開時期について「委員会の意見をうかがい、取り組み事項の進(しん)捗(ちょく)評価をいただいた上で、かなり慎重に考えないといけない」との考えを示した。
背景には前経営トップらが不正の実態解明や再発防止策の徹底にめどがつかないまま再開時期を明言し、社内外から「見切り発車」との批判を浴びて撤回を繰り返したことへの反省がある。
不正販売をめぐっては、昨年から優先的に調べてきた18万3千件の調査は3月末でほぼ完了したが、多数契約などの疑いのある約6万人の追加調査などもあり、全容解明にはまだ時間がかかる見通しだ。こうした調査の進捗や不正に関与した郵便局員への処分、今回設置した委員会からの客観的な意見などを踏まえながら、再開時期や方法は慎重に判断する姿勢だ。