ふるさと納税制度から除外した総務省の決定は違法だとして、大阪府泉佐野市が決定取り消しを求めた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(宮崎裕子裁判長)は3日、双方の意見を聞く弁論の期日を6月2日に指定した。高裁の結論変更に必要な弁論が開かれることから、国勝訴とした大阪高裁判決が見直される可能性が出てきた。判決は秋ごろまでに言い渡されるとみられる。
1審の大阪高裁は今年1月、「総務相の裁量権の範囲内だ」として市側の請求を棄却。市は国勝訴とした判決を不服として、最高裁に上告していた。寄付集めをめぐる国と自治体の異例の対立に、最高裁がどのような判断を示すか注目される。
高裁判決などによると、泉佐野市は地場産品以外の返礼品に加えアマゾンのギフト券を贈る手法で、平成30年度に全国の寄付総額の約1割にあたる約497億円を集めた。総務省は昨年6月の改正地方税法の施行で「返礼品は寄付額の3割以下」などの基準を設定。法改正前に高額な返礼品で多額の寄付を集めた泉佐野市を含む4自治体の参加を認めなかった。
高裁は市側の過去の手法について「極めて不適切。制度の趣旨に反する手法で他の自治体に多大な影響を与えた」と指摘。市の返礼品を「突出して極端」と認め、自治体として是正すべきだったと言及した。
市側は、除外は法施行前の行為を判断材料とするもので「法治国家として許されない」と主張したが、高裁は自治体間の過度な返礼品競争が起きた経緯を踏まえ、過去の実績をもとに参加自治体を選んだ新制度には「相当の理由がある」と認定。新制度は適法で、総務相の裁量の範囲内だと結論付けた。