【主張】緊急経済対策 国難克服へもっと速度を 生活困窮者の支援を徹底せよ

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 政府が新型コロナウイルスの感染拡大に対処するための緊急経済対策を閣議決定した。総事業規模は国内総生産(GDP)の2割に相当する108兆円超であり、財政支出も39兆円を上回る過去最大規模の対策である。

 コロナ禍で経済は凍り付き、長引く自粛の影響が生活の隅々に及んでいる。かつて経験したことのない国難に対し、雇用と暮らしを守り、資金繰りに苦しむ事業者を支えられるよう前例のない対策を講じるときである。

 安倍晋三首相が東京、大阪など7都府県を対象に緊急事態を宣言した。人々の苦境は日増しに強まろう。これを乗り越えるためにも対策を混乱なく迅速に実行することに全力を挙げてもらいたい。

 ≪給付の線引きは妥当か≫

 首相は対策について「甚大な影響のマグニチュードに見合った力強い政策パッケージを取りまとめることができた」と語った。

 感染収束のめどがつくまでの緊急支援策と合わせて、収束後の景気刺激策も盛り込む二段構えとしたのが今回の対策だ。現段階で取り得る施策を網羅的に並べたのだろうが、これで万全なのか。

 少なくとも、コロナ禍が長引けば、経済に及ぼす悪影響がさらに深刻かつ広範になることは想定しておかなくてはならない。

 通常の不況期ならば、場当たり的な政策の逐次投入は避けるべきだが、収束時期が見通せない今の局面は違う。この対策では不十分という事態になったときには、躊躇(ちゅうちょ)せずに財政や税制などの大胆な追加策を講じる必要がある。

 今回の対策で特に手厚くしたのは、雇用の維持や事業の継続、生活が困窮した世帯への支援といった緊急支援策である。今まさに危機に直面している人を救えず、倒産や失業が相次ぐ深刻な状況に陥れば、感染拡大が収束したとしても景気回復どころではない。ここを最優先にするのは当然だ。

 目玉の施策は、売上高が半減した中小企業に最大200万円、個人事業主に最大100万円を給付し、収入が減った低所得世帯に30万円を支給する制度である。

 支援を必要とする事業者や家庭に対し確実に現金が給付されるよう対象を明確に線引きしたのだろう。もちろん、条件に合うかどうかや金額の多寡などで不満が出る可能性はある。だが、同時に問われているのは、スピード感を持って給付できるかどうかである。

 政府・与党は対策の財源を盛り込んだ令和2年度補正予算案を4月中に成立させたい意向だ。その上で、安倍首相は5月中に給付を始めたいとしているが、本当にうまく進むのか。

 対象事業者や世帯が、窓口への申請書類を整えるのに手間取ったり、自治体などの対応が追いつかなかったりして給付が大幅に遅れることもあり得る。それでは緊急支援といえまい。政府はオンライン申請なども検討している。円滑に給付金が行き渡るよう工夫を凝らしてほしい。

 ≪財政事情にこだわるな≫

 企業支援では民間金融機関で実質無利子・無担保の融資を受けられる制度の創設や、売上高が減少した企業への納税猶予なども盛り込まれた。当面の資金繰りを支えるために有効な措置だが、いずれは借金返済や納税が迫られる。それを懸念して廃業を選ぶ事業者が出るようでは元も子もない。

 少なくとも、営業短縮や休業などの要請に従ったがゆえに損失を被る事業者に対しては支援を拡充できないのか。東京都はこうした事業者への協力金の支払いを検討している。国と地方が連携し、損失の直接補償を含めた対応を考えるのも選択肢の一つである。

 一方、対策には感染拡大が収束した後の景気刺激策として、観光や運輸、飲食業などに対する消費喚起キャンペーンを行うことが明記された。割引やポイント、クーポン券などを付与するという。

 もちろん、収束後にどれくらい需要喚起のアクセルを踏むべきかは、その時点の経済次第だが、政府は今回の対策で「早期のV字回復」を目指すという。これを確実に達成できるかどうかが問われていることを忘れてはならない。

 政府は今回の対策を受けた補正予算で赤字国債を含む16・8兆円の国債を発行する。目先の財政悪化にこだわっているときではない。政策を総動員し、未曽有の危機的状況を克服する。今、重視すべきはその一点に尽きる。

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