景気悪化「世界恐慌以来で最悪」 IMF専務理事



国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事(AP)
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 【ワシントン=塩原永久】国際通貨基金(IMF)のゲオルギエワ専務理事は9日、2020年の世界経済が「(1930年代の)世界恐慌以来、最悪の景気低迷に陥ると想定している」と述べた。新型コロナウイルスの感染拡大が、新興国に及ぼす深刻な打撃に懸念を表明。悪影響が尾を引き、2021年も力強さを欠いた「部分的な景気回復」にとどまると指摘した。

 IMFは来週、世界経済見通しの最新版を発表する。ゲオルギエワ氏は講演で「20年に急落するのは明白だ」とし、金融危機「リーマン・ショック」後の09年(マイナス0・1%)を超えた落ち込みになると強調した。未曽有の経済危機だった世界恐慌に触れ、深刻な景気後退に見舞われる“コロナ恐慌”の恐れを示唆した形だ。

 特に感染症対策に十分な予算を投入できない新興国や貧困国に「高いリスクがある」と強調。金融市場の混乱で、過去2カ月の新興国市場からの資金流出は約1千億ドル(約10兆8千億円)に達し、「金融危機後の同期間の3倍を超えた」と金融面の不安を警戒した。

 これまで新型コロナによる景気悪化は一時的で、感染を封じ込めた後は「V字回復」するとの見方があった。ゲオルギエワ氏は、20年後半に感染を押さえ込めても、経済活動を停滞させる外出自粛などの対策は「段階的な解除」しかできず、21年に想定される景気回復は「部分的」なものにとどまる見通しが強いとした。

 さらに「先行きに非常に大きな不確実性がある」と述べ、景気が一段と悪化する恐れがあると強調した。

 先月下旬、世界の大手金融機関が加盟する国際金融協会(IIF)は、20年の世界全体の実質成長率がマイナス1・5%と、11年ぶりにマイナスに転じるとの予測を発表していた。


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