勤務先での違法行為や不正を知ったが、内部告発(公益通報)するのは怖いし、やり方も分からない-。そんな悩みに応えようと、大阪弁護士会が今月、内部告発に関する相談サイトを刷新した。利用者の心理的なハードルを下げるため、完全匿名でのチャット形式の相談方法を導入。スマートフォンからの受け付けも始めた。いずれも弁護士会としては全国初の取り組みという。(杉侑里香)
完全匿名も
平成18年施行の公益通報者保護法は、告発者への不利益な取り扱いの禁止や保護を受けるための条件を規定している。ただ、保護対象になるかどうかは、(1)誰が(2)どのような内容を(3)どの機関に通報するか-などにより変わる。このため各地の弁護士会などは告発者が告発後に不利益を被らないよう事前に専門家に相談するよう呼びかけている。
大阪弁護士会も相談サイトを立ち上げ支援に乗り出していたが、利用は年間10件程度と低調だった。面談の予約までしかできない上、相談内容やメールアドレスなどの個人情報を書き込む必要があり、相談者の心理的なハードルになっていた可能性があった。
このため、4月1日に刷新した新サイトには、相談者の立場などを選択肢で選べたり、「どのような証拠を持っているか」といった質問に任意で答えたりできるチャット形式の入力方法を導入。スマホからの相談も可能で、相談段階では個人情報の入力も求めないようにした。内容には弁護士が直接対応する。