【小菅優の音楽と、夢に向かって】一緒に音楽聴く日が待ち遠しい

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 新型コロナの危機は拡大する一方で、先が読めない毎日が続いております。私も公演の中止や録音の延期などが相次いで、今しばらく家で自粛生活です。

 スイスで3月中旬、まだ決行された公演がありました。それは、藤倉大さんのピアノ協奏曲第3番のスイス初演で、ジョナサン・ノット指揮、スイス・ロマンド管弦楽団との共演でした。

 しかし、スイス政府の要請に従って、ラジオのライブ配信と、ビデオのネット配信やテレビ放送のために、無観客で行われることが数日前に発表されました。

 いつもよりしーんとしたホールの中、オーケストラも私もドレスアップして舞台に出ると引き締まり、その上これでしばらく弾けないということも分かっていたので、余計、緊張感が高まった特別な本番となりました。

 終わって立ち上がるとオーケストラが拍手してくれるので、一見コンサートのようでしたが、もちろん、今、接触はいけないので、指揮者、作曲者とコンサートマスターと舞台上で握手することはなく会釈だけ。そしてオーケストラが立ち上がると急に静かになり、指揮者、作曲者と私3人のみが拍手する、という不思議な空間で、つい笑ってしまう瞬間がありました。

 ネットでライブ配信されたため、日本やイギリス、ドイツの友人から、終わったあとすぐメッセージが届き、配信のおかげで、こんな遠くの友達にまで音楽が届き、聴いてもらえたことはうれしかったのですが、後でビデオ配信を見た友人に、この美しいホールでお客さまのいない中、演奏している私を見て、どことなく寂しい気持ちになった、という感想もいただきました。

 今、家で自粛が続いている中、たくさんのライブ配信で音楽を聴けるのはありがたいことですが、直接触れ合い、同じ空気を吸いながら共感することは私たちに必要だと思います。友達とハグしたり、一緒に音楽を聴いたりする日が来ることを待ち遠しく待っています。(こすげ・ゆう=ピアニスト)

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