「再生加速」へ社長と副社長が入れ替わり 三陽商会4期連続赤字





記者会見した大江伸治副社長(左)と中山雅之社長(右)=14日、東京都千代田区

 アパレル大手の三陽商会が14日発表した令和2年2月期連結決算(決算期変更のため14カ月の変則決算)は、本業のもうけを示す営業損益が28億円の赤字(平成30年12月期は21億円の赤字)だった。赤字は4期連続。暖冬や消費税増税が逆風となり収益が悪化した。同社は再生を加速するとして、社長と副社長が入れ替わる異例の人事を発表したが、今期も新型コロナウイルスの感染拡大で厳しい環境が予想される。

 令和2年2月期は、最終損益も4期連続となる26億円の赤字(平成30年12月期は8億円の赤字)だった。売上高は2カ月分多いことに加え、値引き販売の増加によるかさ上げ効果で590億円から688億円に増えた。

 今期の業績見通しは開示しなかったが、新型コロナの影響が(1)ほとんどない場合(2)上期(3~8月期)いっぱい続く場合(3)年間通して続く場合-の3通りを想定。(2)と(3)では営業損益が60億円と105億円の赤字となり、特に後者では売上高が355億円に激減するとした。同社は業績立て直しのため、運営する1060店のうち最大150店を閉鎖する方向で検討していることも明らかにした。

 1月1日に就任したばかりの中山雅之社長が、5月の定時株主総会終了後に、3月1日付で入社したゴールドウイン出身の大江伸治副社長と入れ替わる異例の人事も発表。都内で記者会見した中山氏は「今は非常時。役割を入れ替える方が(再生が)やりやすい」と述べた。

 同社は主な販路である百貨店販売の不振や、英ブランド「バーバリー」のライセンス終了で業績が悪化。相次ぐ希望退職募集などで立て直しに努めたものの改善していない。会見に同席した大江氏は「お引き受けしたからには不退転の覚悟で全力を尽くして取り組みたい」と抱負を述べた。

 もっとも、同社の大株主で身売りを求める米ファンドのRMBキャピタルは14日、定時総会に向け独自に取締役候補を提案すると発表。中山氏の辞任も要求した。中山氏は「再生プランを実行するための会社側の布陣はこうだと丁寧にご説明させていただく」と述べたが、今後の展開次第では経営に影響が及ぶ可能性もある。(井田通人)



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