習近平指導部、アフリカ外交つまずく 新型コロナ対策で 





演説する習近平国家主席=(新華社=共同)

 【北京=西見由章】中国国内の新型コロナウイルス対策をめぐってアフリカ系住民らが差別的な扱いを受けたとして、アフリカ諸国が反発を強めている。中国からの投資に依存するアフリカ諸国は、国際的な問題をめぐって中国政府の立場を支持することが多く、表立って批判するのは極めて異例だ。習近平指導部の対アフリカ外交が思わぬ“つまずき”に直面している。

 「パスポートを出せ! 動くな!」。街頭でアフリカ人男性を取り囲み、壁に押し付けて高圧的に尋問する中国の警察官たち。この様子を映した動画をツイッターに投稿したのはナイジェリアのオンエアマ外相だ。同氏は9日に周平剣・中国大使を呼びつけ、広東省広州でナイジェリア人が「虐待」されているとして「強い懸念」を表明したことも明らかにした。

 米国の在広州総領事館もアフリカ系米国人に対して、広州市中心部に近づかないよう警告する文書をサイト上で発表した。「(中国の)警察は飲食店に対してアフリカ系の人を利用させないよう命じている」と指摘。当局が警告なしに強制的な検査や自己負担の隔離を要求する可能性があるなどと注意喚起している。

 中国当局は国内での新型コロナの感染拡大を「断ち切った」とする一方、海外からの「逆流入」を厳戒。こうした政府の姿勢が国民の外国人に対する厳しい見方につながっている。

 また広州市にはアフリカ出身の貿易関係者らが集まる「アフリカ街」と呼ばれる一角がある。在中アフリカ人の中にはオーバーステイの違法滞在者がいるほか、過去に違法薬物の売買で摘発されたケースもあり、複雑な感情を抱く中国人も少なくない。広州の黒人社会で新型コロナの感染爆発が起きたとの噂も拡散していた。 

 国営新華社通信によると、広州市当局は今月、アフリカ出身者4553人を対象にウイルス検査を実施し、うち111人に陽性反応が出た。うち19人が海外での感染者とされる。



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