【モスクワ=小野田雄一】中央アジアの旧ソ連構成国、カザフスタンの外務省は14日、中国の大手ポータルサイト「捜狐」に掲載された「なぜカザフは中国に戻ることを切望しているか」と題した記事について、「両国の協調関係に反する」とし、駐カザフ中国大使を同省に呼んで抗議したと発表した。中国外務省にも在中国のカザフ大使館を通じて抗議したという。
ロシアの有力紙「独立新聞」によると、記事はカザフの領土の正当性に疑問を呈し、「現在のカザフの領土は、歴史的には中国に属すべき土地だった」などとする記述を含んでいた。
カザフ外務省は発表で、「こうした内容の報道は、2019年の両国首脳による共同宣言でうたわれた、両国の永続的で全面的な戦略的協調関係(の構築)という精神に反する」と中国側に抗議したとしている。
カザフはロシアが主導する「ユーラシア経済連合」に加盟する一方、中央アジアを巨大経済圏構想「一帯一路」で重要地域と位置付ける中国や、欧米との関係も重視する全方位外交を進めている。新型コロナウイルス対策でも中国から医療支援チームを受け入れている。