原油下落も恩恵には程遠く 外出自粛、工場休止で需要減

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石油連盟の月岡隆会長

石油連盟の月岡隆会長

 20日のニューヨーク原油先物相場で指標となる米国産標準油種(WTI)の価格が史上初のマイナスになったことは世界経済の弱さの表れだ。エネルギー価格の下落は日本の経済活動の追い風であるはずだが、新型コロナウイルス感染拡大の結果、現在は需要自体が失われている状況で、経済が恩恵を受けるにはほど遠い。石油元売り各社は大量の在庫を抱える中、原油安でも仕入れを増やす選択肢はない。出光興産は21日、在庫原油の価値の目減りなどが要因で赤字に転落すると発表するなど、各社は大損失を被っている。

 通常、原油安になれば製造業は製品をつくる際の燃料費や輸送費が下がり、製造コストが減る。消費者にとっても通勤や買い物に不可欠な車のガソリン代の値下がりはよいニュースだ。22日発表予定の20日時点のレギュラーガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格は、13週連続での値下がりが予想されている。

 だが、新型コロナの感染拡大で、こうしたメリット以上に悪影響の方が先に立つ。製造業は需要減で工場が休止に追い込まれ、外出自粛要請が出ている中では消費者はドライブを控えねばならない。

 石油連盟の月岡隆会長(出光興産会長)は17日の会見で、ガソリンの需要は3月時点では前年同月比7%減だったことを明らかにした。4月は10%減を見込んでいたが、政府が7日に7都府県を対象に緊急事態宣言を出したことで「宣言後の需要は(前年同期比で)2割程度落ち込んでいる」という。渡航自粛による出張禁止や旅行需要の大幅減少の影響を受ける航空機向けのジェット燃料需要も、「国内便で6割程度しかない。国際便は9割は消えてしまった」と嘆く。

 その半面、石油元売り各社にとって歴史的な原油安は好機にもみえる。原油価格がマイナスとなる状況は、売り手が「お金を払うから、原油を引き取ってほしい」という異常事態。大量に仕入れることで業績回復につなげることができるとも考えられる。

 ただ、需要低迷で石油元売り各社が保有する在庫は増加しており、実際には仕入れを増やす選択肢は「現実的ではない」(関係者)。逆に各社の間では需要の減少に対応するため、「製油所の稼働率を落としていく選択肢」が浮上。その結果、長期契約で決められた調達分を引き取れず、時期を先送りしてもらう可能性もあるという。

 こうした状況下で、石油元売り各社の令和2年3月期業績は「非常に悪くなる」(月岡氏)見通しだ。4月以降は需要がさらに落ち込むとみられ、「3年3月期の業績見通しを示すのも非常に難しい」という。

 出光興産は21日、2年3月期の連結最終損益の予想を下方修正し、従来の1千億円の黒字から一転して250億円の赤字になると発表した。急激な原油安の影響で、備蓄している在庫原油の評価損が膨らんだのが主因だ。JXTGホールディングスは2年3月期の営業損益が2100億円の赤字に転落すると発表している。(飯田耕司)

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