【主張】新型コロナ詐欺 卑劣な犯行に注意喚起を


 新型コロナウイルスの緊急対策で政府が全国民への一律10万円給付を決めると、早くも不審なメールが出回っている。

 「給付金配布につきお客さまの所在確認」「携帯電話を通じて給付金を配布することになったので所定の手続きを」といったメールだ。

 これらは嘘である。メールによる個人情報の問い合わせはあり得ない。詐欺の手口ととらえてアクセスしてはならない。

 大阪府羽曳野市では、80代の女性に市役所職員を名乗る男が電話で「新型ウイルスの関係で70歳以上の高齢者の方に3万円の支援金が出ます。どこの口座を持っていますか」と聞いてきた。女性は不審に思い電話を切ったため被害はなかったという。

 詐欺師は世の中の混乱につけ込む。ありとあらゆる手で金品をだまし取ろうとする。巧妙な手口の前には誰もが被害者になり得る。相手をしてはいけない。

 マスクやティッシュペーパー、消毒液などの不足に便乗したネット上での架空販売といった小口の詐欺にも警戒が必要だ。

 国民生活センターは、「マスクが購入できる」「マスクが買えるサイトがある」といったSNS上の投稿から、クレジットカード番号など個人情報を狙った詐欺に注意を呼び掛けている。

 保険料の過払い分返還を装い「市役所はコロナで忙しいのでATMで返金手続きをします」といって振り込みを誘うコロナ便乗の特殊詐欺例も報告されている。

 都内では、外出自粛で家にいる人を狙う訪問盗も発生している。工事業者を装った男が「近くで電気工事しているので影響を調べたい」などと言って住宅を訪れ、住人が会話している隙に別の男が部屋に侵入して室内を物色し現金を盗む手口だ。

 全国の消費生活センターに寄せられたコロナ感染拡大に絡む相談件数は、4月に入り1万件以上に上る。いつ収束するか分からない感染への不安や混乱に乗じた極めて卑劣な行為である。

 電話やメールで個人情報を求められたら、これを怪しまなければいけない。相手の素性に少しでも疑いがあれば、必ず第三者や警察、国民生活センター、自治体の窓口などへ相談してほしい。

 そうした相談先を明記した一覧を電話のそばに常備しておくことも自らへの注意喚起となる。



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