中小支援に不満の声 200万円支給「何もできない」





JR京都駅で長い車列をつくるタクシー=21日午後、京都市下京区(寺口純平撮影)

 新型コロナウイルスで業績が大打撃を受けている中小企業への「持続化給付金」や「雇用調整助成金」といった政府支援をめぐり、各企業から金額が不十分といった不満の声が聞かれている。一方、公共交通として事業継続を求められているタクシーなど交通事業者からは貨物輸送など「新しい事業の姿」を模索する声も聞かれ、各社は個別の苦しい事情を抱えながらも必死に前を向いている。

 「200万円をもらったところで何もできない」

 建設残土の運搬を手がける東京都内の会社の社長はこう述べ、ため息を漏らす。政府が打ち出した、売上高が前年同月比50%以上減った中小企業に最大200万円を支給する持続化給付金のことだ。

 大阪府東大阪市のねじメーカーでは、4月の売上高が2割減の見通しだ。発注元からは納期の延期やキャンセルの要請が相次ぎ、在庫も増えている。自動車メーカーが生産計画を半減させる見込みで、経営者の男性は「この先さらに落ち込みそう」と話す。

 これまで、このねじメーカーの1日当たりの売上高は1千万円程度だった。売上の減った企業に対する200万円の支給について「1日分程度の(稼働費用の)穴埋めにしかならない。申請するつもりはない」と諦め気味だ。

 中小企業といっても、業種や規模は千差万別で、最大200万円では焼け石に水の会社もある。都内の自治体の中小企業支援担当者は「給付金にしろ休業補償にしろ、対象となる線引きが難しいのでは」と話す。

 さらに頭を悩ませているのが、事業の継続を前提として苦しい経営を続けなければいけない交通事業者だ。国土交通省によれば、交通事業者の多くは雇用調整助成金など政府の資金繰り支援を活用する方針だが、埼玉県のあるバス事業者の3月の観光バス事業売り上げがゼロになるなど、苦境は深まっている。

 「タクシー、これどうしようかというのが本当のところだ」。24日に開かれた公共交通の継続を考えるインターネット上のフォーラムで、全国ハイヤー・タクシー連合会の川鍋一朗会長は厳しい顔でこう述べた。

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