【主張】コロナとパリ協定 自前のエネルギー確保を

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 新型コロナウイルスの世界的な感染拡大で、多くの国々での産業活動が縮小した結果、二酸化炭素(CO2)の排出量が減少している。

 原油価格も需要の急減少を受けて初のマイナス価格に転じるなどコロナ禍の余波は、地球環境問題とエネルギー問題も絡めながら拡大中だ。

 折しも今年1月から、地球温暖化防止の新たな取り組みである「パリ協定」の実運用が始まったところである。

 今世紀末までの気温上昇を2度未満に抑える同協定の目標に向かっているとはいえ、到底受け入れられない減り方であるのは明らかだ。多くの人の死と企業の倒産や失職への不安など社会のひずみと悲鳴を伴う減少だ。

 温暖化防止と経済成長の両立を目指すパリ協定は、船出の矢先に想定外の巨大な横波を受ける形となった。今年11月に英グラスゴーで開かれる予定だった国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)も開催不能で延期が決まるなど影響は大である。

 この際、気付くべきは、コロナ禍による現在の大規模な低迷と混乱には、国のエネルギー政策を誤った場合に招来される社会の不幸な姿が投影されていることだ。

 例えば日本で原発がゼロとなった場合である。原子力発電が担っていたカーボンフリー機能は、太陽光や風力発電が肩代わりせざるを得ない。

 だが、夜間や無風時には化石燃料を使う火力発電が不可欠だ。しかも再生可能エネルギーによる電力は、安定性を欠くだけでなく価格も高く、家計を圧迫し、産業競争力を剥奪する。

 今回のコロナ禍は原油価格の下落をもたらしたが、国際紛争など原因次第で高騰にも向かう。

 新興感染症の大流行や大震災といった擾乱(じょうらん)に耐える国家であるには、自前のエネルギーの確保が基本要件の一つとなる。そのためには安全性を高めた原発の復活が不可欠だ。日本はパイプラインや送電線網によって他国と結ばれていない島国だ。欧州諸国とは地政学上、全く異なる国なのだ。

 新興感染症の大流行は今後も間断なく繰り返されよう。

 政府はエネルギー基本計画の改定準備のさなかにある。再処理工場の竣工(しゅんこう)をはじめ、核燃料サイクルを基盤とする自前のエネルギー体系の確立が急がれる。

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