新型コロナウイルス感染による肺炎で、3月29日に亡くなったコメディアンの志村けんさん(享年70)が、1日に放送されたNHK連続テレビ小説「エール」の第25話に初登場した。番組の公式SNSに大きな反響が寄せられたことを受け、同局は同日、志村さんが生前に語っていた朝ドラ出演にあたってのコメントを公表した。
志村さんが演じる音楽界の重鎮、小山田耕三は、日本の西洋音楽の分野で初めて本格的な活動を行った作曲家・山田耕筰をモデルとした役。主人公、古山裕一の憧れの人物でもある。
ドラマ初出演について志村さんは「コントとドラマで、そんなに大きな違いはないんだけど…、笑わせなくていいよね。コントは自分たちで考えて、ここはこうでと、ストーリーが全部わかってるから、あまり台本読まないんだけど、ドラマは脚本、演出があっての芝居だし、間違うと、みんなに迷惑かけちゃうから、役柄になってセリフをどう言おうとか家で台本読んだりしてますよ。だけど、いざ撮影になるとセリフとんじゃうの(笑)」と話したという。
NHKによると、志村さんは昨年12月から撮影に参加。日本を代表する作曲家の役柄とあって緊張感のあるシーンが多く、志村さんはカットごとに監督に演技を確認し、話し合いながら撮影に臨んでいた。笑わせる役柄ではないと言いながらも、「でも、ついつい何かしたくなっちゃう(笑)」とコメディアンの顔をのぞかせることもあったという。
注目してもらいたいところについての問いには、「僕の出ているシーンは、困ったことにあまり笑いがないんですよ。俺、譜面も読めないのに、役柄はみんなが憧れる作曲家で、ちょっと意地悪っぽいところもある。いつもの志村けんらしくない、こんなこともやりますよってところを見てもらえれば、うれしいね」と意欲を語っていた。
NHKは、志村さんの撮影済みシーンはそのまま放送する方針としている。