【ワシントン=黒瀬悦成】ポンペオ米国務長官は6日の記者会見で、新型コロナウイルスに関し、最初に感染が確認された中国湖北省武漢市にある中国科学院武漢ウイルス研究所が感染源であることを示す「相当な量の証拠がある」と改めて強調しつつ、「確定的ではない」と述べ、米情報機関が引き続き調査や分析を進めていると語った。
ウイルスの「武漢研究所発祥説」をめぐっては、米軍制服組トップのミリー統合参謀本部議長が5日の記者会見で「分からない」とするにとどめた。米情報機関を統括する国家情報長官に指名されたラットクリフ下院議員(共和党)も5日、上院の指名承認公聴会で、研究所説に高い確証を与える情報は「見ていない」と回答した。
これに対しポンペオ氏は「一連の発言は全て一貫性がある。(研究所が起源だと)確証を得ていないことと、重要証拠があることは両立し得る」反論し、米政府内部で見解が割れているとの見方を否定した。
ポンペオ氏はまた、中国政府が新型コロナのワクチン開発に必要なウイルス試料を依然として米国に提供しないなど、「中国は今なお不明瞭な態度をとり、米国が研究に必要な重要情報へのアクセスを拒否し続けている」と批判した。
ポンペオ氏は、欧州連合(EU)が4日に開いた新型コロナのワクチンや治療薬開発に向けた支援国会合で中国に透明性の向上を要請しなかったことに「遺憾の意」を表明した。世界保健機関(WHO)に対しても、中国に新型コロナ対応の実態調査を求めるべきだと訴えた。