【ソウル=桜井紀雄】北朝鮮の朝鮮中央通信は8日、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長が中国の習近平国家主席に「口頭親書」を送り、中国が新型コロナウイルスの防疫事業で勝機を捉え、成果を収めていることを「わがことのようにうれしく思う」と称賛したと報じた。習氏への親書伝達を公表するのは約3カ月ぶり。
北朝鮮は中国との国境を実質封鎖する厳しい防疫措置を取り、3月の中朝間の貿易額が前年同月比で9割以上減る経済的打撃をこうむっている。中国は新型コロナの検査薬を提供するなど北朝鮮を支援してきたが、親書には、経済面での強い結びつきや援助が絶えないようクギを刺す狙いがあるとみられる。
金氏は親書で、習氏の賢明な指導の下、「中国の党と人民が成果を拡大し、最後の勝利を収めるものとの確信」を表明。「朝中両党間の関係は日増しに緊密になり、健全に発展している」とも強調した。
一方、北朝鮮の人民武力省報道官は7日付談話で、韓国の空海軍が6日に黄海で行った演習は、軍事分野の南北合意に違反すると非難し、「看過できない重大な挑発で、必要な反応をするしかない」と主張した。