【主張】中小テナント家賃 破綻の回避へ支援を急げ


 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて自民、公明両党が中小テナントに対する家賃支援策をまとめ、安倍晋三首相に提出した。新型ウイルスの影響で売り上げが一定程度減少した中小企業に1カ月あたり最大50万円、個人事業主には同25万円をそれぞれ上限に家賃の3分の2を補助する。

 安倍首相が緊急事態宣言を発令したのに伴い、営業を自粛した飲食店などは家賃の支払いが重くのしかかっている。特に経営規模が小さい店にとっては深刻な問題である。

 それだけに支援を急がねばならないが、与党の政策決定には時間がかかっている。この家賃支援は4月下旬から与党で議論されてきたが、すでに立憲民主などの野党は支援法案を国会に提出している。早期支援を実現するためにも与野党が協力してもらいたい。

 営業自粛などで売り上げが大幅に落ち込んだ中小事業者に対し、政府系金融機関などの融資で支払った家賃について、半年分を後で国が助成する仕組みとする。

 大手事業者の場合、独自に大家側と家賃の減額交渉などもできるため、助成対象は中小事業者に限定する。公明党の主張も踏まえ、家賃補助などを実施する自治体に対しても財政支援する。

 ただし懸念もある。今回の家賃支援は、政府系金融機関などによる無利子・無担保融資を利用し、後から家賃分を助成することを想定している。しかし、政府系金融機関などには資金繰りに窮する中小企業から融資申し込みが殺到しており、新たに融資を受けるには相当の時間がかかる見込みだ。

 それでは家賃を支払えなくなる中小テナントも出てくる恐れがある。その間のつなぎ資金を自治体が補助するなど、きめ細かい支援が欠かせない。

 一方、国土交通省では大家などに対し、中小テナントの家賃を猶予するように求めている。政府系機関の融資実行を前提に、経営が悪化している中小テナントの家賃については、大家も支払いを猶予するなど柔軟に応じてほしい。

 自民党では家賃補助で2兆円弱が必要になるとみている。こうした費用は来週から議論が始まる令和2年度第2次補正予算案に盛り込む予定だ。

 中小テナントが経営破綻することがないように予算の早期成立を図る必要がある。



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