日本人宇宙飛行士の野口聡一氏が搭乗する米国の新型宇宙船「ドラゴン」の打ち上げ時期について、準備が順調に進めば9~12月になる見通しであることが分かった。米航空宇宙局(NASA)アジア代表部のマッキントッシュ代表が11日までに産経新聞の取材で明らかにした。2024年までの有人月面着陸を目指すNASAの「アルテミス計画」に関し、日本人宇宙飛行士が月面での活動に参加できるチャンスがあるとの認識も示した。
ドラゴンは米宇宙企業スペースXが開発。NASAは今月27日(米国時間)に試験飛行として米宇宙飛行士2人を乗せ、南部フロリダ州のケネディ宇宙センターからドラゴンを打ち上げる。その次に米宇宙飛行士3人と野口氏を乗せ、本格運用として打ち上げる予定だ。
マッキントッシュ氏は「ドラゴンで国際宇宙ステーション(ISS)に向かうのは米国人以外で野口氏が最初になる」と指摘。未定の野口氏のドラゴン打ち上げ時期について、27日の試験飛行の成功などを条件に「秋か冬になると思う」と述べ、9~12月との見通しを示した。27日の打ち上げについては「2011年のスペースシャトル退役後、初の米国からの有人飛行」と重要性を強調した。
アルテミス計画については、24年までに「初の女性宇宙飛行士が月に降り立つ」ことなどが目標で、28年までに国際的なパートナーなどと持続的な月面探査を目指すと説明。日米の協力も協議中だとした上で、「米国と日本は緊密なパートナーであり、月面にいる日本人宇宙飛行士を見られるだろう」と述べ、日本人が初めて月面探査に参加できる可能性に言及した。
マッキントッシュ氏は「日本の宇宙航空研究開発機構(JAXA)から多大な貢献を期待している」と語り、案件としてトヨタ自動車が開発を進める有人月面探査車などを挙げた。また、米国が同計画を通して技術力を高め、火星に宇宙飛行士を送ることを目指しているとも説明。火星探査に向けてもJAXAと協力を進めていくことを強調した。(坂本一之、小野晋史)